An die Musik 開設7周年記念 「大作曲家7人の交響曲第7番を聴く」

プロコフィエフ篇
プレヴィンとロストロポーヴィチ

文:Fosterさん

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CDジャケット

交響曲第7番 嬰ハ短調 作品131「青春 」
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団
録音:1978年
EMI Classics(輸入盤 7243 5 73525 2 9)
併録:交響曲第1番 作品25「古典」、「キージェ中尉」作品60


CDジャケット

交響曲第7番 嬰ハ短調 作品131「青春」
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮フランス国立管弦楽団
録音:1986年6月
elatus(輸入盤 0927 49826-2)
併録:交響曲第6番 作品111

 プロコフィエフの交響曲第7番は、彼の最後の交響曲となったものです。祖国への想いを胸に抱きながら書いたというエピソードもあり、青春という副題もつけられていますが、たしかに彼の他の交響曲と比較すると確かに旋律もわかりやすくはあるものの、曲の構成は込み入っていることもあってか私には若干ちぐはぐな曲のように感じられることもありました。しかし、何度も聴いていくにつれてこのちぐはぐさが面白くなっていくのですからプロコフィエフという作曲家は本当にすごいと思わせられました。

 そんな風に私にこの曲の再評価をさせてくれた演奏は、ここで紹介させていただくプレヴィンとロンドン交響楽団による演奏とロストロポーヴィチとフランス国立管弦楽団による演奏のふたつです。どちらの演奏もメリハリを利かせてこの曲の魅力を十二分に堪能させてくれますが、プレヴィン盤はどちらかといえば、プロコフィエフのモダンな作風に焦点をあてた演奏になっており、ロンドン交響楽団のパワフルな演奏とも相まって非常に魅力的です。

 一方のロストロポーヴィチ盤はロシア的叙情に焦点を当てた演奏となっており、普段の彼ならばあくどさを感じることもある感情移入がフランスのオーケストラということもあってうまく中和されており非常にバランスよく仕上がっています。

 また、ロストロポーヴィチ盤ではプレヴィン盤と異なり、4楽章のラストがピッチカートで終わる版を用いているのも大きなポイントです。個人的にはこの版の方がプロコフィエフのロシアへの郷愁を感じさせてくれるので好んで聴いていますが、派手に終わる演奏を好む方にはプレヴィン盤をお勧めしたいと思います。

 

(2005年11月22日、An die MusikクラシックCD試聴記)