An die Musik 開設9周年記念 「大作曲家の交響曲第9番を聴く」

ベートーヴェン篇

文:バイロンさん

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ベートーヴェン
交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱」
フルトヴェングラー指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
録音: 1942年3月
MUSIC&ARTS(輸入盤)

 この演奏は、私が数ある第9の中で一番よく聴く演奏です。
熱狂・推進力・迫力といった点で他の指揮者はもちろんのこと、フルトヴェングラーのバイロイトやルツェンをも凌駕すると言っていい演奏ではないでしょうか。

 フルトヴェングラーの録音はとかく音に難があることを指摘されますが、このレーベルの録音はノイズも含め全体的に良好な音の水準になっていると思います。

 この演奏の白眉は第1楽章と第2楽章で、特に第1楽章はまさに荒狂う嵐のような凄まじい演奏となっています。
この点で冒頭にも記したように、古今の第9の演奏の中で、一番の迫力と熱狂を持つ演奏ではないでしょうか。

 そして、この42年3月盤のすごいところは、その演奏内容がリズム・カンタービレその他、全体としてバランスをとりながら最終楽章までたどり着くところです。
従って、何回聴いても飽きの来ない完成度の高い演奏になっているのだと思います。

 この一枚は、私にとってしばらくはベートーヴェンの中で最もよく聴く録音の一枚になるのではないかと思っています。

 

(2007年12月7日、An die MusikクラシックCD試聴記)