ゲルギエフの「展覧会の絵」を聴く

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CDジャケット

ムソルグスキー
組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
以上、録音:2000年4月28日、ムジークフェラインにおけるライブ
歌劇「ホヴァンシチナ」前奏曲(モスクワ河の夜明け)(ショスタコーヴィッチ編)
交響詩「はげ山の一夜」(リムスキー=コルサコフ編)
ゴパック
歌劇「ソロチンスクの市」から(リャードフ編)
以上、録音:2000年12月22日、ムジークフェライン
ゲルギエフ指揮ウィーンフィル
PHILIPS(国内盤 UCCP-1053)

 作曲家本人の原曲は全く採用されない風変わり?なCDが登場した。

 それはさておき、メインの「展覧会の絵」である。これを聴かれた方は既に多数おられると思うのだが、どう感じたであろうか。人によって随分感想が異なっているようだ。私の場合、「さすがキーロフ歌劇場のオケは音色が違うな。ぶっとい音がしてるし、まさにロシア的。こういう音で聴くムソルグスキーは格別。やっぱりロシアのオケは味があるわい...」という感想を最初に持ったのである。つまり、私はゲルギエフの指揮しているオケがウィーンフィルではないと思っていたのである。前に聴いた「春の祭典」がキーロフ歌劇場のオケだったから、ついそんな思い込みになったのだ。

 ウィーンフィルの愛好者には叱られてしまいそうだが、ゲルギエフが指揮台に立つと、このオケはロシア的なぶっといサウンドを聴かせるようになっているのではないだろうか。野武士的な豪快さを見せるところなど、とても面白い。ウィーンフィルという名前からは、多少洗練されたイメージを私は受けるのだが、この録音で聴くウィーンフィルは必ずしも洗練されていない。「古城」のサックス、「ブイドロ」のチューバなどやや土俗的な感じさえする。「カタコンブ」は強圧的な迫力があるし、「バーバ・ヤーガの小屋」はほとんど野蛮な響きである(それ以外にあの猛烈な響きを表現できない)。全曲を通してマッチョな指揮者のマッチョな演奏という気がする。

 しかし、私の聴き方とは全く逆に、ウィーンフィルらしい繊細な演奏と感じる人も多いようだ。同じ演奏を聴いてもいかに異なる感想を持つか、この録音は思い知らせてくれる。興味深いことだ。さて、皆さんはどう感じられたであろうか?

 なお、この「展覧会の絵」はライブ録音と銘打ってあるが、本当だろうか? 真偽を確かめたいところである。

 

2002年3月25日、An die MusikクラシックCD試聴記