コンセルトヘボウ管来日公演 第12回<2004年>

(文:青木さん)

コンセルトヘボウ管弦楽団のページのトップに戻る
ホームページに戻る


 

1.来日までの動向

 

 (1) コンセルトヘボウ管の演奏活動

 

 2003/2004シーズンのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、6月にリッカルド・シャイーが指揮する一連の演奏会(マーラー9番とヴェルディ「ドン・カルロ」)でシーズンを終え、1988年以来16年間に及んだシャイー時代も幕を閉じました。

 そして2004/2005シーズンは、いよいよマリス・ヤンソンスにバトンタッチです。9/1にフィリップ・ヘレヴェッヘが指揮する演奏会で新シーズンの幕を開けたコンセルトヘボウ管は、9/4と9/6の定期にさっそくヤンソンスを迎え(*)、すぐにこの二人の指揮者に率いられてルツェルン音楽祭に参加しました。アムステルダムに戻ってヤンソンスが9/15と9/16の演奏会を指揮し、その後はガッティ、ノリントン、デイヴィス、アーノンクールらが登場。そして10月の末にヤンソンスが4回の演奏会を指揮して、そのまま日本ツアーに突入、という流れです。

 日本で演奏される5曲はすべてこの2ヶ月の間にヤンソンスが何度も採り上げられた曲ばかりであり、こういう場合はリハーサルがおろそかになって団員の物見遊山が重視される手抜きツアーとなる恐れもあるのですが、そこは天下のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、しかも新任ヤンソンスはこの新たな手兵と初の本格的な海外公演。そのようなことはないでしょう。十分に練られた演奏が展開されることを期待したいと思います。

(*)9月4日はヤンソンスの第6代首席指揮者への正式就任を記念する演奏会であり、そのメイン・プログラムである「英雄の生涯」は映像収録され、コンセルトヘボウ自主レーベルからSACDとDVDで発売される予定

 

(2) 2004/2005シーズンのヤンソンス指揮コンセルトヘボウ管の演奏会(日本公演までの分)

 
9/4,9/6
アムステルダム

オネゲル:交響曲第3番
R.シュトラウス:英雄の生涯

9/10
ルツェルン

オネゲル:交響曲第3番
R.シュトラウス:英雄の生涯 

9/11
ルツェルン

ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 

9/15,9/16
アムステルダム

R.シュトラウス:4つの最後の歌
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

9/17
アムステルダム

オネゲル:交響曲第3番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

10/27,10/28
アムステルダム

ベートーヴェン:交響曲第2番
ブラームス:交響曲第2番

10/29,10/31
アムステルダム

ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 

11/6〜11/14
日本公演
 

2.第12回来日公演の内容 

 

(1) 概要

 

 1991年の第6回来日公演以降、ほぼ2年ごとのペースでシャイーと日本に来ていたコンセルトヘボウ管ですが、12回めとなる2004年は、新シェフに正式就任したばかりであるヤンソンスとの来日です。この組み合わせによる商業録音は10年以上前のベルリオーズ(EMI)が一枚あるだけで、そんなコンビがいきなり日本にやって来るというのはやや唐突な印象さえありました。

 今回も前回と同様に〔梶本ワールド・オーケストラ・シリーズ〕の一環として東京公演(2回)を行い、岩国と福岡に足を伸ばしてから東京へ舞い戻って〔NHK音楽祭〕に出演(2回)、そして京都と名古屋へ行って終わりです。この間は一日休むだけの強行軍。横浜にも大阪にも行かないのに東京で4公演もあるというのは、そういう需要バランスなのか他オーケストラ等との折り合いの結果なのか。

 なにしろこの2004年11月は稀にみる“オーケストラ来日ラッシュ”でして、ウィーン・フィル(11/11〜11/21)、ベルリン・フィル(11/2〜11/21)、コンセルトヘボウ管(11/6〜11/14)の世界三大楽団が揃い踏みするのに加えて、ニューヨーク・フィル(これは10月後半)にチェコ・フィル、さらにウィーン響やシュトゥットガルト放送響などが次々にやってくるという異常事態となったのです。こんなにたくさん聴きに行くのは金銭的にも時間的にもたいへんですし、印象も散漫になってしまいます。もう少し分散してもらったほうがよかったのですが。ただチケットの価格が、ベルリン・フィルが飛びぬけて高くウィーン・フィルもけっこう高価だったことにより、コンセルトヘボウ管が相対的にリーズナブルに感じられたという思わぬ効果?もありました。

 8回の公演で演奏されるのは全5曲で、その組み合わせによって4種類のプログラムが編成されています。11/8の岩国は当初AプロだったものがBプロに変更されたようです。

 チラシ等に記載されたキャッチ・コピーは、「ヨーロッパの超名門オーケストラが強力な首席指揮者を得てさらなる感動を呼ぶ」。

 

(2)曲目と日程

 

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:マリス・ヤンソンス

A (11/6)

  • ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 op.36
  • ブラームス : 交響曲 第2番 ニ長調 op.73

B (11/7,11/8)

  • ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 op.36
  • R.シュトラウス : 交響詩 「英雄の生涯」 op.40

C (11/9,11/11,11/12,11/13)

  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽 「ペトルーシュカ」
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

D (11/14)

  • ブラームス : 交響曲 第2番 ニ長調 op.73
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

11月6日(土) 18:00 サントリーホール (梶本ワールド・オーケストラ・シリーズ)

  • ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 op.36
  • ブラームス : 交響曲 第2番 ニ長調 op.73

    主催:日本テレビ・梶本音楽事務所/協賛:富士電機グループ/後援:オランダ大使館
    料金:S:23,000 / A:19,000 / B:14,000 / C:9,000 / D:5,000 / プラチナ:30,000
    発売:4/7(会員)/4/10(プレオーダー)/4/24(一般)

11月7日(日) 14:00 サントリーホール (梶本ワールド・オーケストラ・シリーズ)

  • ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 op.36
  • R.シュトラウス : 交響詩 「英雄の生涯」 op.40

    主催:同上
    料金:同上
    発売:同上

11月8日(月) 19:00 シンフォニア岩国

  • ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 op.36
  • R.シュトラウス : 交響詩 「英雄の生涯」 op.40

    主催:シンフォニア岩国
    料金:SS:14,000 / S:12,000 / A:10,000 / B:8,000 / C:6,000 / 学生:3,000 / 小中高:1,000
    発売:8/5(友の会先行)/8/12(一般)

11月9日(火) 19:00 アクロス福岡 福岡シンフォニーホール

  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽 「ペトルーシュカ」
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

    主催:FBS福岡放送/協賛:(財)アクロス福岡/後援:読売新聞西部本社・NIB長崎国際テレビ・KKT熊本県民テレビ
    料金:GS:17,000 / S:15,000 / A:12,000 / B:9,000 / C:5,000
    発売:8/1

11月11日(木) 19:00 NHKホール (NHK音楽祭)

11月12日(金) 19:00 NHKホール (NHK音楽祭)

  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽 「ペトルーシュカ」
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

    主催:NHK・NHKプロモーション/後援:オランダ大使館
    料金:SS:20,000 / S:18,000 / A:15,000 / B:12,000 / C:9,000/ D:5,000 / E:3,000
    発売:4/12

11月13日(土) 17:00 京都コンサートホール大ホール

  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽 「ペトルーシュカ」
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

    主催:京都市・梶本音楽事務所・京都コンサートホール(財団法人 京都市音楽芸術文化振興財団)/協賛:富士電機グループ/後援:オランダ大使館
    料金:S:20,000 / A:16,000 / B:12,000 / C:6,000
    発売:5/15

11月14日(日) 17:00 愛知芸術文化センター愛知県芸術劇場コンサートホール

(第22回 名古屋クラシックフェスティバル)

  • ブラームス : 交響曲 第2番 ニ長調 op.73
  • チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 「悲愴」

    主催:中京テレビ放送
    料金:S:21,000 / A:18,000 / B:13,000 / C:9,000 / 学生:4,000
    発売:5/29

 

(2004年10月31日、An die MusikクラシックCD試聴記)