コンセルトヘボウ管来日公演
2004年11月7日(文:伊東)
マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
- ベートーヴェン : 交響曲 第2番 ニ長調 op.36
- R.シュトラウス : 交響詩 「英雄の生涯」 op.40
アンコール
- ハイドン:セレナーデ
- R.シュトラウス:「バラの騎士」組曲抜粋
11月6日(土)と7日(日)、連日でコンセルトヘボウ管を聴いてきました。場所はいずれもサントリーホールです。同じホールで、同じオーケストラを、同じ指揮者で、しかも前半のプログラムまで同じというものでした。同じずくめなのですが、私の場合極端に違ったことがありました。それは座った席です。
6日は、RA席で、オーケストラを左側から見下ろすようにして聴きましたが、7日は何と最前列。具体的には第1バイオリンの第3プルトの足下でした。その距離は1メートルちょっと。さらに指揮者は私の右手におり、その距離は約5メートルというところでした。こうなると、オーケストラのバランスがどうだったのかよく分かりません。第1バイオリン奏者達の演奏する姿、指揮者の動き・・・。抜群の臨場感にくらくらする始末です。
最も臨場感があったのは、指揮者の野獣のようなうなり声です。「グルルルルルrrrrr・・・・」。何の音なのかしばらく分かりませんでした。演奏中にあれだけ唸っていて大丈夫なのでしょうか?前の方でしか聞こえないのならいいのですが。
それはともかく、7日のできはかなり良かったと私は思っています。臨場感に影響されているとは思いますが、前半のベートーヴェンも良く鳴っていたと思います。もっとも、6日の演奏も相当高いレベルでしたから不満はありませんでした。弦楽器のすばらしさ、管楽器のつややかさ。オケ全体から立ち上る色彩感。音だけで十分満足させてくれました。
後半の「英雄の生涯」はまさに力演だったと思います。キズがなかったわけではありません。が、取るに足らなかったと思います。輝かしいコンセルトヘボウ管のサウンドに私は十分浸ることができました。
惜しむらくは、やはり座席です。もっと後ろではどのように聞こえていたのでしょうか? 臨場感は得られましたが、オーケストラから近すぎるのはどうかと思います。木を見て森を見ず、という状態はあまり嬉しいものではありません。2階の中央あたりでコンサートを楽しみたかったのですが、どうも私はこのオケを聴くときにはいい席に当たりません。2002年のマーラーでは前から6列目でした。目の前に勢揃いするコントラバスの音ばかりがゴンゴン聞こえてすごい迫力でした。
なお、「英雄の生涯」の後にアンコールがあるとは夢にも思いませんでした。ハイドンの「セレナーデ」が始まったときにはびっくりでした。多分弦楽器の合奏能力を聴衆にアピールしたかったのでしょうね。「バラの騎士」組曲は、演奏が良かっただけに、「何で組曲の抜粋なんだ?」と不満が残ってしまいました。次回来日時には本格的に取りあげてもらいたいところですね。
(2004年11月8日、An die MusikクラシックCD試聴記)