小澤征爾のマーラー:交響曲第1番(花の章つき)を聴く

文:としちゃんさん

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CDジャケット

グスタフ・マーラー
交響曲第1番
小澤征爾指揮ボストン交響楽団
録音:1977年、1984年(花の章)
DG(輸入盤469 660―2)

 以前から小澤征爾のCDはいくつか買ってきた。マーラー第8番、ベートーヴェンの第5(ボストン盤)、ブラームスの交響曲、等々。

 しかし、今ひとつ面白くない。名声のわりに、当時の私のヒーローであったバーンスタインに比べて楽譜どおりに音をなぞるだけの音楽作りに思えたのだ。

 そんなある日、小澤が盲目のピアニストと『ラプソディー・イン・ブルー』を演奏する映像が放映された。「うわー!なんて生き生きしているんだろう!ものすごい装飾音符の凝りようだ!」間違いなく今まで聴いてきた同曲のナンバー1だった。

 その後、小澤のライブ映像には注目をはらってきた。マーラーの第2も、なんと生命力にあふれていたことだろう(一部のみ)。

 そして遂にカラヤン追悼の記念演奏会らしきものでの『ブルックナー第9』(!!!)が放映された。最も小澤にむかなそうなイメージ。ところが・・・その前に視聴したヴァントのライヴよりも、以前に聴いたCDのほとんどを凌駕した、美の世界だった。テレビの映像を見て泣いたのは本当に久しぶりだった。それも、音楽で。

 マーラーの第1番は、つい最近買ったもの。それも、フィリップスの新録音(未聴)ではなくグラモフォンとの旧録音を買った。成功だ。フィリップスとの録音は、なんだか知らないが素晴らしいと思った録音が少なかったせいだ。(あくまでも私にとっては。ノイズを取りすぎているというか、なんだか不自然ではないか?うまく言えないが感動につながらない美音・・・)

 音が生きていること、全楽章に渡って集中力に満ちていること、オケが必要十分にうまい(!)こと。おまけに美しい『花の章』もついてくる!

 そして最も好きな点。かのブルーノ・ワルター以来久しぶりに、終曲のコーダをじっくりとしたテンポで演奏していることだ。堂々とした、本当に最高の終結だと思う。バーンスタイン流の、せかせかしたテンポよりよっぽど素晴らしいと思う。

 最後に。今年度のサイトウキネンフェスティバルでは『ブルックナーの第7番』を演奏するとか。どんな評論家が、なにを言おうと、日本人が演奏するブルックナーを、本当に楽しみにしている。ただし録音は、ソニーさん、お願いします(^^♪。

 

2003年6月30日掲載、An die MusikクラシックCD試聴記