父クライバー、フルトヴェングラーを聴く

文:西間木さん

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チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」
エーリヒ=クライバー指揮
パリ音楽院管弦楽団
録音:1953年10月
DECCA(国内盤 POCL-4102)

もし、カルロスが悲愴を指揮したら? という想像を刺激する演奏といったら、エーリヒに失礼にあたるかもしれません。この演奏を聴いていると、明らかにカルロスはエーリヒの影響下にあると言えるでしょう。個人的には、エーリヒ交響曲録音のベストフォームと思います。同じコンビで第4番の録音もありますが、こちらは??の演奏です。

チャイコとフランスのオケの組合は、とてもいい出会いだと思います。

CDジャケット

シューマン
交響曲第4番
ヴィルヘルム=フルトヴェングラー
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年5月14日
グラモフォン(国内盤 POCG-3791)

 フルトヴェングラーの録音は多々ありますが、録音状態も考慮して、この演奏をベスト1と考えたいと思います。ここには、19世紀から延々と流れていたドイツ浪漫主義精神の最後の灯火があります。シューマンはフルトヴェングラーのメインのプログラムではないかもしれませんが、絶えることの無い音楽の流れの素晴らしさは、他に比べるものがありません。あまり使いたくない言葉ですが、絶対的名盤と言ってよいでしょう。

 

2002年2月20日掲載、An die MusikクラシックCD試聴記