ロックハート指揮の魔笛を聴く

文:ベリサリウスさん

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モーツァルト
歌劇「魔笛」序曲
交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」
交響曲第39番変ホ長調K.543
指揮:ジェームズ・ロックハート ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団
The Royal Philharmonic Collection FRP−1008(輸入盤)

ほとんどの人は知らないと思う指揮者でありますが、本当にかなりの実力を持つ方です。

 彼の経歴を記すと、エディンバラ生まれ。エディンバラ大学及びロンドン王立音楽院で学ぶ。コベントガーデン王立歌劇場をはじめヨーロッパ各地の歌劇場でアシスタントとして活躍し、最も有望なイギリスの若い音楽家に贈られるショルティ奨学金を受ける。

 サドラーズウェルズオペラ(現イングリッシュナショナルオペラ)を指揮しデビュー。コベントガーデン王立歌劇場、スコティシュオペラの常任指揮者を経てロンドン王立音楽院教授を努める。

 彼の名声はヨーロッパに広まり、ドイツで始めてのイギリス人指揮者としてカッセル州立歌劇場、コブレンツ歌劇場、ラインフィルハーモニックオーケストラの音楽監督を歴任。この間、ワーグナーの『指輪』チクルス、ヤナーチェクチクルス、英国作品の定期的紹介など幅広い活動を展開。イタリア、ニューヨークもメトロポリタンも指揮する。

 ロンドン王立音楽院オペラ科主任教授、その後、ロイヤル音楽アカデミーオペラ科の主任教授に就任。

 現在、東京芸術大学名誉教授、ロンドン王立音楽院・ロイヤル音楽アカデミーオペラ科顧問

彼自身は指揮者の名声を高めるというよりも、教育などに熱心なため、世界的知名度はほとんど無いです。

 しかしこのCDを聴いてみて下さい。まったく手を抜いたところが無く、すべてが最良の音で鳴り響いています。またモーツァルトらしい優雅でまろやかな演奏です。伝統的で個性がないと非難が来そうですが、満足いくモーツァルトの演奏がいかに難しいかは、決定的名演奏が少ないことからも伺われるのではないでしょうか。この演奏では、ヴィブラートのかけすぎによる甘ったるい音でなく、かといって古楽器的なキツメの発音でもありません。まさに音を楽しむと言える演奏です。聴けば聴くほど味わいが出てきます。序曲でクラリネットのミスがあるのが残念ですが、ほとんど気になりません。

 ただこのCDシリーズは普通のCD店で手に入りにくいのが難点です。本屋などのワゴンセールでたまに見ます。私はこれを八重洲ブックセンターの前のワゴンセールで1000円で買いました。場所によってはもっと安く買えるそうです。

 この前、都内でロックハート氏の実演に接し、簡素な指揮ぶりにもかかわらず、抜群のオーケストラの統率で、アマチュアオケながら120パーセントの実力を出させ、メリハリの利いた音楽作りで演奏者と聴衆の一体となれる、すばらしい演奏会を体験しました。

 その他のCDもとってもすばらしいです。

ベートーヴェン:交響曲第2番、交響曲第8番 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団
The Royal Philharmonic Collection FRP−1067(輸入盤)

メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調「イタリア」 ロンドンフィルハーモニー管弦楽団
EMI 7243 5 74946 2 5(輸入盤)

 また新交響楽団のホームページにロックハート氏のインタビューが「ヒースの茂る国からやって来たロックハート先生」として掲載されています。

http://www.shinkyo.com/concerts/last1.html

 

2002年2月23日掲載、An die MusikクラシックCD試聴記