■アメリカ東海岸音楽便り〜ボストン響のコンサート・レポートを中心に■
2002〜2003 シーズンを振り返って
ボストン響で聴く「田園」と「春の祭典」
October 5, 2002 8:00 PM
Rafael Fruehbeck de Burgos, conductor
Boston Symphony Orchestra
Symphony Hall
Boston, MABEETHOVEN : Symphony No.6, Pastoral
STRAVINSKY : The Rite of Spring私たちにとって2002〜2003シーズンのボストン響最初のコンサートです。まずは《田園》から。第一楽章の出から意外に強く早いテンポで出るのにまず少し驚かされます。主部は普通のテンポで進めてゆきます。第二楽章は最初の弦の出の美しさにこれは!と思わせますが長くは続きません。しかし全体を通して弱音部での弦の響きはとても美しかったです。妻には、カッコウの鳴き声が聴こえてくる部分が少し強すぎるとのことでした。第三楽章はハッとテンポと音量を落とし斬新な解釈を聞かせる部分がありました。第四楽章、十分な迫力はあるが恐ろしくはありません。第五楽章、やはり出の弦は美しいです。が、幸せな感動的な気分とまではいきません。途中、第二バイオリンがピッチカートでテーマをひく部分がもう少し強く美しければと思いました。全体に悪くはありませんが突き抜けたものもなかったと思います。一緒に来ていた友達に言わせると、木管楽器群のピッチが良くなかったとのことです。
休憩を挟んで、《春の祭典》です。わたしが実演で最も聴きたかった曲のひとつです。全体としては満足できる出来でありました。ライブならではの傷もあり、フルートなどは出るところを大きく間違えたところが一箇所ありました。また音自体の恐ろしさ、意味深さみたいなものはあまり感じられませんでした。ただこの曲はCDではわからない視覚的効果もいっぱいあり楽しめました。横一列に並んだホルンが一斉に掲げて吹くシーンや2つ並んだティンパニが勇ましくたたくシーンは否応がなしに興奮させてくれました。
全体として大いに盛り上がった演奏会でした。終了後はスタンディングオべーションまでおこり、珍しく明かりがつくまで続けられました。
(2003年6月5日、岩崎さん)