■アメリカ東海岸音楽便り〜ボストン響のコンサート・レポートを中心に

2003〜2004シーズンに備えて必要なものは?

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ボストン響のシンフォニー・ホールでの2002〜2003シーズンは一ヶ月ほど前に終了したばかりですが、2003〜2004シーズンの予定はすでに半月ほど前に発表となっています。私のところにも定期会員の勧誘とともにその冊子が送られてきました。最近はウェブ・サイトにてコンサートの予定を見ることはもちろんチケットの購入も簡単にできるようになっていますが、やはりこの冊子とにらめっこしながらコンサートの予定を立てるのは楽しいものです。わが家にはボストン響のほかにもフリート・ボストン・シリーズ(フリートという銀行がメインスポンサーとなって開催されるボストンで行われるコンサートです)、カーネギー・ホール、メトロポリタン・オペラなどの予定表が届きました。これを床いっぱいに広げ、ああでもない、こうでもないとマーカーペンを片手に考えるわけです。私は真剣そのものなのですが、妻の目にはかなり異様に映るようです(笑)。

ところで、こういった冊子が送られてくるのは定期会員の勧誘が目的なのですが、会員になることの最大のメリットは一般発売より先にいい席のチケットが買えることです。昨シーズンは一般発売でチケットを購入したのですが、友人の方に発売初日に並んでもらったにもかかわらず第一週目のチケットはすでに売り切れでした(涙)。シリーズにもよりますが、会員になることにより割引があったり特典があったりもします。しかし当然デメリットもあるわけです。まだ予定のわからないかなり先の日程のチケットを買うことになりますし、自由にコンサートの組み合わせが出来ないこともあります。

話をボストン響に戻します。ボストン響のシンフォニー・ホールでの2003〜2004シーズン予定は別項に掲載しました。目立つところでは主席客演指揮者のハイティンクさんがオープニングコンサートを含めた3プログラムを振ります。それに対し現在指名音楽監督(Music Director Designate)の立場にあるレヴァインさんは1プログラムと寂しいですね。2004年秋からは現在のミュンヘン・フィルの音楽監督を辞任し正式にボストン響の音楽監督になる予定ですが、その時にはもう少し腰を落ち着けてやってくれることを期待したいです。その他2プログラム登場するのはマズアさん、フリューベック・ブルゴスさん、ロジェストベンスキーさん、デ・ワールトさんとなっています。ボストン響初登場はベルグルンドさん、マッケラスさん、プロムシュテットさんのお三方となります。もうベテランとも言えるこの三人が初登場とはちょっと驚きです。

プログラムには今年生誕200年を迎えたベルリオーズを中心としたプログラムが2つ組まれています。反対に昨年3つあったストラビンスキーの作品が今年はありません。私にとっては古典派、ロマン派の大物は少ないのはちょっと残念です。

私としては最初の週のハイティンクさんによるオール・ベートーベン・プログラム、ベルグルンドさんによるシベリウスの交響曲6・7番は外せないコンサートと考えています。他にも昨シーズン聴いてよかったコープマンさんのバッハとメンデルスゾーン、初登場プロムシュテットさんのニールセンも気になりますし、マッケラスさんの《幻想》なんてのも面白そう。ルプーさんのピアノや、クレーメルさんのバイオリンも聴いてみたいし悩みはつきません。皆さんならどのコンサートに行きますか?

ボストンを訪れる他のオーケストラは現時点でフェドセーエフ指揮ウィーン響、レービ指揮イスラエル・フィル、ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ響となっています。ウィーン響はオール・ベートーベン・プログラムでバイオリン協奏曲と《エロイカ》。これは絶対にはずせませんね。イスラエル・フィルはベートーベンの《皇帝》とシベリウスの交響曲2番、サンフランシスコ響はマーラの交響曲5番、というのがメインのプログラムです。どのオケも大曲を持ってきて魅力あふれるプログラムですね。

その他、エマーソン弦楽四重奏団、タカーチェ弦楽四重奏団、チェロのヨーヨー・マさん、ピアノのラン・ランさん、ブレンデルさん、歌手のハンプソンさん、バルトリさん、アップショウさん等がコンサートを開きます。とてもすべては書ききれません。

また残念ながらボストンには訪れないのですが、いわゆる世界三大オケーケストラ(アメリカではシカゴ響も入れないと怒られるでしょうか(笑))がアメリカ・ツアーを予定しニューヨークのカーネギー・ホールに登場するようです。ラトル指揮ベルリン・フィル、小澤指揮ウィーン・フィルは平日のコンサートのためちょっと聴きに行くのは難しいですが、プロムシュテット指揮コンセルトヘボウ管は土日にコンサートを開くので、都合が付けば両日とも聴きたいです。プログラムは土曜日がベートーベンとチャイコフスキーの交響曲4番、日曜日がモーツァルトの交響曲41番とブラームスの交響曲1番となっています。音楽の殿堂と言われるカーネギー・ホールにはそれこそ綺羅星のようなオーケストラ、室内楽団、ソリストたちが登場します。またニューヨーク・フィルがマゼールさん(昨シーズンからマズアさんに変わって音楽監督を務めています)の指揮で短期間(10月21日〜11月8日)にベートーベンのすべての交響曲、ピアノ協奏曲を演奏するのも大きな話題のひとつですね。ニューヨークには忘れてはいけないメトロポリタン歌劇場もありますので、もしニューヨークに住んでいたら毎日の素晴らしいコンサートに悶絶死するか、先に破産してしまうでしょうね。これを見ていただいただけでも、たとえニューヨークが私の住んでいる町から車で4時間かかろうとも行くだけの価値があるということがご理解いただけたのではないでしょうか。

というわけで2003〜2004シーズンに備えて必要なものは、「時間、体力、お金」と言うことになりそうです。今からしっかり計画を練らなければなりません。


(2003年5月27日、岩崎さん)