交響曲第2番 ハ長調 Hob.T-2
「ハイドンの交響曲を全部聴こう」(略称「ハイドン・マラソン」)
■ 楽曲について
作曲 1757/59年(ゲルラッハ1996年による)
編成
オーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、 通奏低音
構成 第1楽章:Allegro
第2楽章:Andante
第3楽章:Presto■ 録音データ
録音年月 第1楽章
第2楽章 第3楽章 ドラティ盤 1972年6月 3:22
2:59 2:37 フィッシャー盤
1990年6月 3:21 3:03 3:03 ■ 演奏について
フィッシャー盤
(1-5番)CDを聴きながら何かをしているとこの曲がいつの間にか始まり、いつの間にか終わっています。交響曲第1番が短くても12分はあったのに対し、第2番はドラティ盤でもフィッシャー盤でも10分もありません。本当にあっという間です。
作曲は1757/59年。それから100年後の交響曲はもとより、モーツァルト・ベートーヴェンの時代の交響曲と比べても、規模的には「これが同じジャンルの作品なのか」と思わずにはいられません。交響曲とはいえ、ディヴェルティメント的な明るさや爽快さに溢れています。作曲当時の貴族のように適当に聞き流しているとこの曲はただの時間つぶしにしかなりません。
しかし、第1番と同様、じっくり聴くと面白さがにじんできます。小規模ながらも内容的には交響曲の原型というべき響きが聞かれます。ハイドンの曲はながら聴きをしていては理解できないし、もったいないと思います。作曲当時は気にもとめないのが正しい聴き方だった可能性すらありますが、皆様にもぜひスピーカーと正対して聴くことをお勧めします。そんな聴き手をハイドンも想像していなかったでしょうが、ハイドンの曲はごく初期のものでもそうした鑑賞に堪えうるようです。
曲は「急−緩ー急」の3楽章で構成されています。
第1楽章は短くとも風格があります。これを拡大していくと後期の本格的な交響曲になりそうです。ただし、もう少し聴いていたいと思っても、残念ながら3分で終わってしまいます。長大な楽曲が望まれていなかったのでしょう。
第2楽章はのそのそとした低弦の動きの上にバイオリンが優雅に旋律を奏でます。ユーモラスでありながらも上品な曲ですね。いつものことながらAndanteはハイドンの白眉です。
第3楽章は快活なロンドですが、まだ心に残るものがありません。というより、聴き手の心に何かの思いを残すような曲を発注者である貴族達は望まなかったのでしょう。
ドラティ盤は重厚で立派な演奏です。真剣に「交響曲」として演奏しているという感じがします。
フィッシャー盤は左右一杯に広がるステレオで聴け、若きハイドンの颯爽たる響きを楽しめます。これ以上を期待する気がしない見事な演奏・録音だと思います。
(2007年6月10日掲載、An die MusikクラシックCD試聴記)