交響曲第3番 ト長調 Hob.T-3
「ハイドンの交響曲を全部聴こう」(略称「ハイドン・マラソン」)
■ 楽曲について
作曲 1761年6-12月(ゲルラッハ1996年による)
編成
オーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、 通奏低音
構成 第1楽章:Allegro
第2楽章:Andante moderato
第3楽章:Menuet & Trio
第4楽章:Finale,alla breve,allegro■ 録音データ
録音年月 第1楽章
第2楽章 第3楽章 第4楽章 ドラティ盤 1972年6月 5:16
6:16 3:08 1:51 フィッシャー盤
1990年6月 5:28 6:51 3:10 1:55 ■ 演奏について
フィッシャー盤
(1-5番)いよいよ4楽章編成の交響曲が登場しました。全体の規模も拡大されています。そう思って聴くと、なかなか立派な曲ではないかと期待が高まります。が、この曲の場合、それどころではありません。この曲を聴き進むにつれ、「あれ、これは『ジュピター』じゃないか!」とびっくりします。
2分にも満たない第4楽章は「ジュピター」の第4楽章とそっくりで、4つの音でフーガが形作られ、熱狂的に終結します。モーツァルトがこの曲を真似たのかどうか知る由もありませんが、天才達は同じ楽想がひらめいてしまうものなのでしょうか。
「『ジュピター』に似ている」と思うと、その他にも類似点を探したくなります。「第1楽章だってフーガの旋律に似ているよ」とか「第3楽章だってそうだ」といろいろこじつけていけそうです。
ごく初期の作品であっても、ハイドンは全く侮れません。この曲も、終楽章だけでも十分傑作と言えるでしょう。
ドラティ盤もフィッシャー盤も録音の鮮度に差はあれ、いずれも優れた演奏だと思います。ドラティ盤は力強く、重厚さを併せ持ち、フィッシャー盤は軽妙さの中に機知を感じさせます。録音時期をかなり過ぎていても、演奏者達が楽しんでいることが伝わってきます。こうした曲は「これが正しい演奏だ」などとはやらない方が面白いと思います。
(2007年6月22日掲載、An die MusikクラシックCD試聴記)