世界初演は、1898年11月22日、作曲者自身による指揮で、ローマのコスタンツィ劇場において上演された。日本初演は、1985年8月、日生劇場にて、藤原歌劇団と二期会の合同で、指揮は井上道義によって上演された。
全3幕、上演時間:約2時間半、台本:ルイージ・イッリカ
第一幕
夜が次第に明けて太陽の光があたりをつつみ、町民たちの太陽への賛歌で幕が開く。若くて貧しい純真無垢な少女イーリスは、見ていた恐ろしい夢を語り、悪夢を追い払ってくれた太陽に感謝している。年老いた盲目の父が質素な小屋から現れ、イーリスの手で日差しの中へ導かれ祈りを始める。金満の若い遊び人であるオーサカは、遊女屋経営のキョートの手を借りて、目を付けたイーリスを手に入れようと狙っている。旅回りの人形使いに変装したオーサカとキョートによって、イーリスは連れ去られてしまう。イーリスの父は娘を探すが、娘は吉原に行ったと聞かされ、イーリスに捨てられたものと思い込み激怒し、行商人に吉原へ連れて行ってくれるように頼む。
第二幕
遊郭の一角に閉じ込められたイーリスにオーサカが言い寄るのだが、まだあどけないイーリスは、愛の言葉にあきれて笑っていて相手にしない。やがてオーサカの本心がわかり、父親のもとへ帰してくれと頼む。オーサカはいたく失望し退屈してしまい、キョートにイーリスを追い出すよう勧めるが、キョートは芸者にして荒稼ぎしようと目論み、イーリスに暗い穴を見せて、言うことに従わなければ穴に落とすぞと脅す。そこに父親があらわれイーリスは助けを乞うのだが、助けてくれると思った父親は、実はかどわかされたのだとは知らずに、娘に激しく罵詈雑言を投げ掛けてしまう。絶望のあまりイーリスは窓の下の穴に身を投げてしまう。
第三幕
真夜中のどぶ川の土手で、浮浪者達が下水をさらいごみ漁りをしている。絹の着物と飾りを見つけ、その着物と飾りをはぎ取ろうとするが、死んでいると思っていた人間が動くのを見て、日が昇り始めるとともに逃げてしまう。横たわっていたのは、重い傷を負ったイーリスであった。薄れる意識の中で人生は無情だと告げるオーサカ、キョート、そして父親の声が聞こえてくる。やがて夜が完全に明け、太陽の温かい陽光がイーリスに降り注ぎ、「陽光の中で私は休むわ」と言い残して、イーリスは息を引きとる。最後に再び太陽の賛歌が聞こえてくる。
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