ARCHIVE OF WHAT'S NEW?
2002年7月
7月16日:「あなたもCD試聴記を書いてみませんか」のコーナーに「ノイマン指揮ブルックナー交響曲第1番を聴く」を追加しました。文はドレスデン・フォトギャラリーのSagittariusさんです。Sagittariusさん、CD試聴記ありがとうございました。私はまだこのCDを聴いていないのですが、Sagittariusさんの試聴記を読んで猛烈に聴いてみたくなりました!
7月14日:本日は2部構成です。
その1:「あなたもCD試聴記を書いてみませんか」のコーナーにcarrosse d'orさんによる『春の祭典』最近の聴き比べを追加しました。
その2:ドレスデン・フォトギャラリーに「クルチュア・パラスト」(文化宮殿)の写真を追加しました。写真の提供は、何と、最強の音盤博士として知られる斉諧生さんです。斉諧生さん、写真ありがとうございました。
なお、クルチュア・パラストについては1999年1月19日に駄文を書いているのですが、きっとそんな前の文章まで遡って読んで下さる方は希でしょうから、解説のために斉諧生さんの写真の下に入れておきました。私が使った写真はちょっと訳ありだったので、斉諧生さんの写真は大変貴重であります。
7月11日:独逸巨匠指揮者の芸術
シューベルト
交響曲全集
劇音楽「キプロスの女王ロザムンデ」から序曲、バレエ音楽第1番、第2番
ホルスト・シュタイン指揮バンベルク響
録音:1985〜86年、バンベルク
BMG(国内盤 BVCC-38192〜95)先頃BMGから「独逸巨匠指揮者の芸術」シリーズが発売されました。BMGは、サヴァリッシュ、シュタイン、ヨッフムというドイツの渋い指揮者達のデジタル期の録音を1枚1,200円で販売しています。そのうち、ホルスト・シュタインのCDは持っていないものばかりでしたので、すべて買ってきました(女房にはナイショです)。
バンベルク響とシュタインの組み合わせには特別な思い出があります(拙文「バンベルク響の思い出」ご参照)ので、この組み合わせのCD発売と聞いて私は飛びついたわけなのですが、どれも期待に違わぬすばらしい録音です。オケの渋めのサウンドといい、指揮者の大きく盛り上がる音楽作りといい文句なし。ワーグナーの「リエンツィ」序曲など、いかにもドイツ的な堅固さと、熱狂と、渋さがない交ぜになっていて痺れます。ブルックナーの交響曲第4番も洗練されたオケで演奏される最近の録音と較べると地味で地味でしょうがないような音なのですが(そこがいいんです!)、紛れもないブルックナーの世界を垣間見せてくれます。どうも私は時にこういうやや鄙びたオケの音色が聴きたくなるらしく、ベルリンフィルやウィーンフィルよりも愛着を感じてしまいます。
1枚1,200円といいましても、このシューベルト全集は4枚組ですから安くはありません。しかし、このCDは本当にすばらしい。実は、私は1枚目を聴いた後、なかなか2枚目に入れなかったのであります。といいますのも、1枚目に収録されている交響曲第1番、第2番の演奏が素晴らしすぎて、また聴きたくなり、聴き終わると、また第1番から通して聴いてしまうのです。それが何日も続いたのであります。そのため、私はこのCDを買い込んできてから、まだ交響曲第8番、第9番が収録されている4枚目に辿り着いていないのであります(◎-◎)。
ことに優れているのは第1番の第1楽章。あのでこっぱち頭のシュタインがこんな活きの良い演奏をしているのはまことに不思議なことです。音楽作りは結構緻密で、テンポや細かいニュアンスなども指揮者の指示が行き届いている感じなのですが、もちろん窮屈さのかけらもなく、躍動感溢れ、感動的であります。交響曲第2番もオケの渋いサウンドを活かしながら全曲をきっちりまとめ上げ、歌に満ちたシューベルトの音楽を堪能させてくれます。あまり大きな声では言えませんが、私がこれまで愛聴してきたブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンの演奏も、これに較べるとやや乱暴な演奏に感じられます。残念ながら指揮者の力量に差があるのですね。
というわけで、私はまだこの全集を聴き終わっていないのですが、最初の1枚を聴くだけでも十分価値のある録音だと思います。シューベルトの初期交響曲をあまり聴かない方がおられるかもしれませんが、この機会に聴いてみることをぜひお薦めします。多分、こういったシリーズはいったん完売すると、しばらく入手できなくなるでしょう。CD棚に寝かせておいても後で十分楽しめるはずです。
7月9日:本日も2部構成であります。
その1:ドレスデン・フォトギャラリー その2を追加しました。今回の撮影も片山さんです。写真のアングルを決定するのにかなり時間をかけられたようで、非常に優れた写真ばかりです。A4サイズに拡大して部屋に飾っておきたくなりますね。
その2:リンクのページに以下のサイトを追加しました。全く驚くべきサイトです。人それぞれ好きなものに打ち込むと、それ相応のアウトプットを作れるのでしょうが、ここまで個人でやってしまうとは。脱帽してしまいます。
ショスタコーヴィッチの包括的ページ。広さといい、深さといい、これほどの水準のホームページは貴重。驚くべきことに若い研究者が個人でこのサイトを構築している。ショスタコーヴィッチ研究に関して不可欠のサイト。英語版まである。
7月8日:「ドレスデン・フォトギャラリー」に続いて、今度は「コンセルトヘボウ・フォトギャラリー」ができました。写真撮影はLudwigさんです。Ludwigさん、ありがとうございました(解像度の関係ですべての写真を掲載できませんでした。何卒ご容赦下さい)。また、ご尽力下さいました青木さん、ありがとうございました。
このようなページを作れないものかと前から思っておりましたが、実現できて良かったです。こうなったら各地のフォトを募集しちゃいます! 皆様、ふるってご参加下さい!
7月7日:本日は2部構成であります。
その1:バルビローリの評伝が出版されました。
Life With Glorious John
A Portrait of Sir John Barbirolli
Author:Evelyn Barbirolli
Robson Books, London
ISBN 1 86105 474 2
これは2002年に出版されたばかりの初版本です。私は親切な読者にロンドンで買ってきていただきました。ロンドンでの価格は£17.95です。著者はエヴリン・バルビローリさん。バルビローリ夫人であります。エヴリンさんは現在90歳を過ぎているらしいですが、生涯初の著作が、今は亡きご主人の評伝となりました。302ページに及ぶハードカバーの立派な本ですが、活字の大きさも丁度良く、英語も難しい音楽用語も使われておらず、私程度の英語力でも何とか読み進められます。
巻頭にはこんな言葉が。
In memory of my husbund,
dear Glorious John, with love.うーむ。・・・私が死んでも、うちの女房が本を書いて、このような言葉を巻頭に持ってくるとは到底思えません。羨ましいですね。なお、「Glorious」の「G」は大文字が正しく、ミスプリではありません。
内容については、買って読んでいただくとして(^^ゞ、構成についてお話しします。本文はバルビローリ夫人による回想録でハレ管との仕事や、客演先での話題に触れられています。これが180ページほどあり、そのあとに付録があります。これが貴重なもので、以下の3部構成になっています。
The Art of Conducting by John Barbirolli
バルビローリによる指揮法に関する論文。1947年の作。
Celebrations in Manchester for the Centenary of John's Birth
バルビローリ生誕100周年記念シンポジウムの模様。夫人もパネリストになっている。
Discography by Malcolm Walker
約60ページに及ぶ詳細なディスコグラフィー。どうです? 読みたくなってきたでしょ?
その2:リンクを追加しました。
長らくリンクのページの更新をさぼってしまい、誠に申し訳ございません。追加したページは以下のとおりです。
作者は「ゴルビー大帝」を名乗る学生さんらしい。コンサートの感想が主であるが、カイルベルトの特設ページもある。
古今東西の迷盤・珍盤の紹介ページ。作者はチェロ弾きらしい。LPについての言及も多い。
一部にCDの話やコンサートの見聞録がある。
クラシックをはじめとした音楽CD評論、オーディオに関するコンテンツ。
大変凝った作りのホームページ。「ぐすたふ・ま〜ら〜の部屋」という充実したコーナーがある。
音楽に関する辛口の評論が読める。指揮者のコーナーにはクレンペラーの特集もある。
なお、余談ですが、ホームページをこれから作成する、あるいは立ち上げたという方の中で、ホームページビルダーを使われた方は、タグを一度ご確認下さい。私は商売柄いろいろなホームページを閲覧いたしますが、ホームページビルダーの基本機能である「どこでも配置モード」を使ったページの場合、自分のパソコンではきれいに配置できているようでも、他のパソコンで見るとアイコンやロゴ、写真の上にテキストが重なっていたりします。ひどいときにはテキストが何重にも重なっています。作った本人のパソコンではきれいに表示されているので、本人だけはいつまでもその状態に気がつきません。パソコン教室の「ホームページ講座」でも、ホームページビルダーが使われることが極めて多いのですが、「どこでも配置モード」は便利なツールであるためにどうしても利用者はこの機能を使いたがります。この機能を使ったページは不要なタグが大量に書き込まれておりますので、心当たりのある方は一度確認してみて下さい。
アバドがまたもやマーラーを録音していますね。第3番、第7番のCDが発売され、先頃は第9番が登場しました。
マーラー
交響曲第9番
アバド指揮ベルリンフィル
録音:1999年9月、フィルハーモニーにおけるライブ
DG(輸入盤 471 624-2)アバドは1977年から94年にかけてマーラーの交響曲全集を完成しています。旧録音はシカゴ響、ウィーンフィル、ベルリンフィルを駆使した豪華なラインアップですが、そのうちいくつかは残念ながら非常にインパクトの足りないものでした。それゆえ「あまり出来映えには期待できないな」と私は考えていたのですが、さすがに再録音するだけあって、新録音にはアバドの変化が録音に滲み出ているようです。
最初にリリースされた第3番は1999年10月11日、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブ。次いで発売された第7番は2001年5月、ベルリン・フィルハーモニーでライブ録音されたものでした。いずれも大変力強い演奏をしており、ベルリンフィルのパワフルな一面をまざまざと見せつけています。今回の第9番は、前2作をさらに強力にしたもので、少なくとも全3作の中では最高傑作といえます。録音も、第3番、第7番と同じエンジニアが担当しているのですが、この第9番が最も優れているように感じてしまうのは、やはり演奏に強く引き込まれているからかもしれません。
さて、この演奏はバーンスタインのように感情移入が甚だしい激烈なものではありません。が、アバドとしてはかなり力の入った演奏だと思います。この指揮者は、端正な演奏が多く、どうにも煮え切らないところがありました。が、この第9番はバーンスタインの忘我的境地にまでは到達しなくても、彼なりに燃えに燃えた演奏だったように感じます。興味深いのは、アバドの思いがデフォルメとなって現れるのではなく、限りなく美しい演奏となって現れていることです。全楽章とも、ベルリンフィルは高機能ぶりを発揮し、*多分*すさまじい大音量で弾きまくっていると思われますが、第4楽章は端正さを充分残しながら歌いきっています。演歌ではないのですから、アバドは感情移入が誰にも分かるような演奏を避けているのでしょう。そうしたところにやはりこの人の良い意味での良識を感じます。
この演奏はさほど変わったことをしていないわりに、何度も聴きたいと思わせずにはいません。それは優れた演奏の証だと思います。CDジャケットは何だか安っぽいのですが、演奏は安っぽくはありません。今後の新録音が楽しみになってきました。
(An die MusikクラシックCD試聴記)