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2007年8月

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CD2007年8月10日(金):ポンマー

あなたもCD試聴記を書きませんか」のコーナーに「マックス・ポンマーを聴く」を追加しました。文はゆきのじょうさんです。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。原稿を頂いておきながら掲載が遅れましたことをお詫び申しあげます。


このところ私はあまりCDを聴けないでいます。自分の部屋に入ってCDを聴こうとすると、どうもエアコンのゴーッという音のために音楽に集中できません。かといって冷房を切ると暑くて部屋にじっとしていることさえできません。冬にはどうしているかというと、やはり暖房の音が気になるので部屋をある程度暖めた後は、暖房を止め、静かになった部屋で毛布をかぶってCDに聴き入っているのです。これは結構快適で、静かな部屋で、しかも適温で音楽を鑑賞できます。そのまま寝てしまうことが多々あるのが難点ですが・・・。夏はそういう工夫もできません。あまり真剣に音楽を聴く季節ではないのかもしれませんね。皆さんは何か特別の工夫をされていますか?

 

CD2007年8月6日(月):姪のRちゃんへの手紙

ブラスバンドでトランペットを吹いている中学2年生の姪Rちゃんに、今年も「クラシックの曲を5曲聴いて感想文を書いてきなさい」という夏休みの宿題が出たそうです。「おじさん、今年もCDを教えて!」というのでここしばらくずっと検討していましたが、今日CD5枚をわが故郷の福島に発送することができました。Rちゃんには私からの手紙もつけました。固有名詞を伏せて、その全文を掲載してみます。来年は中学3年生になりますが、同じ宿題が出ますかね? こういう助っ人は楽しいので来年の曲も考え始めたいところです。

以下、Rちゃんへの手紙です。


Rちゃんへ

和明おじちゃんです。
今年の音楽の宿題用CDです。今年の要望は「トロンボーンが出てくる新世界みたいなカッコいい曲」あるいは「ホルンの和音が続く曲」ということだったので相当苦心して考えました。

二つの条件を簡単に満たす曲を知ってはいるのですが、長い曲だったりするので、その曲とは別に、なるべく短く楽しんで聴ける曲を選びました。なお、実は去年選んだCDに今年の条件を満たすものがありますので、参考に聴き直してみて下さい。

「二つの条件を簡単に満たす曲」についてはそのうち紹介する機会があるでしょうし、Rちゃんが自分で気がつく可能性もあります。急がないでもいいでしょう。

今年の推薦曲は以下のとおりです。この中から課題の5曲を選んで下さい。

■ チャイコフスキー作曲 交響曲第5番 ホ短調 作品64
ワレリー・ゲルギエフ指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1998年、ザルツブルク、祝祭大劇場でのライブ
レーベル:PHILIPS

CDジャケット4楽章構成で、全曲を通して聴くと46分もあります。普段3分くらいの曲を聴いている人には異常な長さでしょうね。しかし、今回のリクエストに応えるにはおそらく最適な曲だと思い選曲しました。第4楽章なんてカッコよくてたまんないでしょ。多分演奏したくなるでしょう。

おじさんは高校生の頃、これとは別の演奏(カラヤン指揮ベルリンフィル、1975年録音、DG)を興奮しながら何度も聴きました。おじさんが卒業した福島高校でもこの曲を定期演奏会で演奏していましたよ。Rちゃんにもそのうちに演奏の機会があるかもしれません。
なお、第2楽章には有名なホルンのソロがあります。ホルン奏者の腕の見せ所でもあります。

■ ベルリオーズ作曲 劇的物語「ファウストの劫罰(ごうばつ)」作品24から「ハンガリー行進曲」
ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団

録音:1959年4月、デトロイト
レーベル:Mercury

古い録音です。おじさんも生まれていません。そのわりにいい音でびっくりするでしょう?
もしかしたらRちゃんの音楽の先生は指揮者のポール・パレーという人を知らないかもしれませんが、全く気にすることはありません。

この「ハンガリー行進曲」(別名「ラコッツィ行進曲」)は去年の曲目の中に入れようかと思っていましたが諸般の事情でやめたのです。華々しい曲でいいですねえ。
なお、このCD、本当は「幻想交響曲」がメインです。興味があれば聴いて下さい。今はあえて勧めません。

■ ワーグナー作曲
→下記の1曲か2曲を選んで下さい。「ローエングリン」は必須にしましょうかね。
歌劇「リエンツィ」序曲
楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ジェイムズ・レヴァイン指揮メトロポリタン・オーケストラ

録音:1991年、5〜6月、ニューヨーク
レーベル:ドイツグラモフォン

はじめに断っておきますが、このCDは私が特にすばらしいと思っている演奏が収録されているわけではありません。「リエンツィ」「タンホイザー」「マイスタージンガー」「ローエングリン」「オランダ人」すべてが1枚に収録されている国内盤が他になかったためです。 これらの曲に興味があればそれぞれ別の推薦CDがあります。入門用と思って下さい。

  • 「リエンツィ」序曲はおじさんが大好きな曲です。が、長い曲なので最初の5分間はまずじっと聴きましょう。後半はズンドコ節です。コンサートで聴くと興奮しますよ。冒頭のトランペットはどうですか? Rちゃんも吹けるかな?
  • 「マイスタージンガー」はRちゃんの手元にも楽譜があったと思いますが、こういう曲です。気に入ったら感想文に入れて下さい。音響的にはカッコいいですが結構複雑な曲です。
  • 「ローエングリン」は今回のリクエストに完全に合致した曲のはずです。
  • 「オランダ人」は暗くてカッコいい曲ですね。最後のあたりにホルンの悪魔的なトリルがあります。ここが決まらない演奏はおじさんは好きではありません。
  • 「タンホイザー」序曲は名曲で、後半にホルンの聴かせどころがあります。いい演奏にあたるとかなり痺れます。が、このCDではらんちき騒ぎの「バッカナール」がついているので敢えて今回は勧めませんでした(おじさんはこの「バッカナール」がうるさくて苦手なのです)。

■ メンデルスゾーン作曲 劇付随音楽「真夏の夜の夢」
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団

録音:1960年1-2月
レーベル:EMI

Rちゃんはブラスバンドでトランペットを吹いているので、金管楽器が目立つ曲に興味があるのは分かりますが、そういう曲だけを追いかけるのはもったいないと思い、あえてメンデルスゾーンを入れました。

宿題の対象としてはこのCDに入っている総ての曲を宿題の対象にしてもいいし、序曲だけでもいいし、「結婚行進曲」だけでも構いません。

今回のリクエストに応えるのであれば、「結婚行進曲」がいいでしょう。将来、Rちゃんも自分の結婚式で聴くことになるかもしれない行進曲ですが、こうして聴いてみると壮麗な曲ですね。本当に立派な演奏です。

実は最も聴いてほしいのは「スケルツォ」です。金管楽器は使われていません。でも、とても素敵な曲でしょ? 大きな音が鳴り響く、華やかな曲だけが名曲ではないのです。

なお、これもおじさんが生まれる前の録音ですね。「そんな古い演奏ばかりが何で出てくるのだ?」と思うでしょ? 音がいいCDはいっぱいあるけど、演奏もいいのは数少ないのですよ。CDの世界では、古くても演奏がよくて、しかも、信じられないことに、音までいいことがあるのです。

【オプション】
■ リヒャルト・シュトラウス作曲 アルプス交響曲 作品64
ルドルフ・ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデン

(ドレスデン国立管弦楽団)
録音:1971年9月、ドレスデン
レーベル:EMI

演奏時間が50分にもなる長大な曲なので最後まで入れようか、入れまいか悩みましたが、そろそろこういう曲を知ってもらいたいと思ってリストに入れました。しかし、長い曲なのでこれを割愛し、前述したワーグナーの序曲・前奏曲で曲目数を稼いでも構いません。

おじさんは高校1年生の頃この曲をひどい音・ひどい演奏のLPレコードで聴いたらしく、曲自体を嫌いになっていたのですが、コンサートでこの曲を聴いて好きになりました。巨大な編成で演奏される、夏向きの曲です。

このCDは1971年に録音されていて、いかにも古くさいでしょうが、最新録音で音がいいだけのCDを聴くより得るものが大きいでしょう。

長い曲なので最初からじっくり全曲を聴けとは言いません。いきなりクライマックスから入るのもいいでしょう。トラック13「頂上にて」以降だけでも相当楽しめます。重層的な金管楽器の音がすばらしい。「嵐の前の静けさ」では本当に雨が降ってくるような気がします。音だけでこんなことができるのですね。その他聴きどころ満載です。

 

(An die MusikクラシックCD試聴記)