ARCHIVE OF WHAT'S NEW ?
99年5月前半

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5月15日:チャイコフスキーを聴いた夜

昨日のCD試聴記に引き続き、チャイコフスキーの話を一つ。といっても全くプライベートな古い思い出話であります。

私は大学4年の時、上野の東京文化会館に小林研一郎さん(通称コバケン)が指揮するチャイコフスキーの交響曲第5番を聴きに行ったことがあります。演奏は「炎のコバケン」というニックネームにふさわしく、それこそ炎のチャイコフスキーでした。第4楽章の最後の例の箇所(最強音でいったん終わり、フェルマータの後、Moderato assai e molto maestosoで開始されるところ<472小節目>)から数小節、コバケンは何と指揮をやめ、オケに勝手に演奏させるなど(?)見せ場もたっぷり。真冬の寒い時でしたが、体が内側からメラメラ燃え上がってくる熱演でありました。

私は大変興奮しました。上野から1時間以上かかって西の彼方の国立(くにたち)まで辿り着いても平常心でいられません。「うぉおおお、もうこれは飲むしかない!」と勢いづいた私は行きつけの飲み屋に駆け込みました(学生の分際で行きつけの飲み屋があったのでした(^^ゞ)。さっそくビールをググーッと飲むと、さらに気分が高まります。そしてもっと気分が高まる事件が起きたのです。5分もしないうちに、店のドアを開けて入ってきた男。私の顔を見るなり「あぁっ!」。私もびっくり。その人はコバケンのチャイコフスキーを隣の席で聴いていた人だったのです。これにはお互い仰天でした。もちろん、その晩はサラリーマンであったその男性に気前よくおごってもらい、大酒を飲みながら音楽談義をしました。非常においしいビールでありました。気分は最高です。

こんな楽しい偶然がまたないものだろうかと期待しているのですが、残念ながらまだありません。ミュンヘンでシノーポリの指揮する「グレの歌」を聴いた後、たまたま帰りの電車で、その舞台で演奏していたバイエルン放送響の楽員さんと隣り合わせになったことはあります。その時の面白い話もあるので、後日お話しする機会があるかもしれません。が、その後、こういった偶然がないのです。

話は元に戻りますが、私も今は社会人になっておりますので、こんな面白い巡り合わせがあれば、相手が学生さんなら、もちろんおごってあげたいところです(その代わり私の大酒につきあわされますが...)。みなさん、コンサートでは隣の人にも気を配ってみましょう。


5月14日:CD試聴記に「ゲルギエフ指揮ウィーンフィルのチャイコフスキー交響曲第5番」を追加しました。元気が出るCDシリーズ第1弾です。


5月13日:ホームページタイトルの由来

昨日のCD試聴記で、このページのタイトルがエリー・アメリングさんが歌うシューベルトの歌曲"An die Musik"に由来すると書きました。そう書くと、あたかもホームページ構想があった最初の頃から"An die Musik"という言葉が私の頭にあって、自然にタイトルが決まったように思われるかもしれません。が、実はそうではないのです。
ホームページ公開時からの読者の中には、このページが最初は女房さんのものであり、私のページはオマケにすぎなかったことをご存じかもしれません。女房さんが自分のページにつけたタイトルは「伊東家の趣味のページ」という全く情けなくも、おぞましいものでした。これではいかにも「ジャンクページですよ」と自ら公言しているようなものです。ホームページの作りのハウツー本には、そのように焦点がはっきり分からないネーミングを避けるべしと必ず書いてあります。

もっとも、今と比べれば、実際に内容も貧弱であったことは否定できません。まさにジャンクであったのです。私の担当する予定であったCD試聴記も、最初は週に1度くらいのペースで1枚のCDについて書けば十分かな?といった程度でした(このペースは今も変わっていませんが...)。ですから、「伊東家の趣味のページ」というタイトルでもも「まぁいいか」などと思っていたのです。
ところが、ホームページの構想が次々に膨らみ、「私が選ぶ名曲・名盤」や「クレンペラーのページ」までができてくると、「伊東家の趣味のページ」では誰にも見てもらえず、また、ホームページの先輩方に相互リンクさえしてもらえそうにないような気になってきました。私が書きまくった分量が女房さんの書いた分量を圧倒的に上回った段階で、タイトルを真剣に考え直さざるを得なくなったのです。

そうなりますと、意外と良いアイディアが浮かばないのです。何日も何日も良いタイトルがないかと考えました。それはもう、電車の中でも、お酒を飲む時でも、風呂に入っている時も考え続けました。そんなことが続いたある日、近所の定食屋にいました。そこでメンチカツ定食を注文した私は、何も考えずにそのメンチカツにパクリと食いついたのでした。その瞬間、私に"An die Musik"の名前がひらめいたのです。長く私の愛聴盤であったエリー・アメリングさんのCD。「これしかない!」とその場で心に決めてしまいました。ホームページの本来の生みの親である女房さんは、ページを完全に乗っ取られた形になりましたので面白くない様子でしたが、渋々了承してくれました。

今にして思えば、去年の10月いっぱいは、夫婦でホームページ作りを楽しんでいました。11月1日には公開できるよう、かなりの時間を費やしましたが、ものを作る楽しみが味わえ、大変楽しい日々でありました。近所の定食屋に入ってメニューに「メンチカツ定食」を発見するたびにあの時の興奮を思い出します。でも、「メンチカツ」が"An die Musik"と結びつくなんて、ちょっと幻滅でしょうか?


5月12日:An die Musik再開。

しばらく休載しておりましたが、その間もカウンターの数字は増え続けました。正直言ってこれは驚きでした。私はカウンターの数字を見るたびに感謝の気持ちで一杯でした。カウンターの数字が伸び続けたのはゲストブックが稼働していたことが大きな原因の一つだと思われますが、「そろそろ再開しているのでは?」と期待して訪問して下さった方々がいかに多いか、ということもあったかと思います。また、激励のメールや書き込みを読むにつけ、このまま放っておくわけにはいかないとつくづく感じました。休載宣言などをしてしまって誠に申し訳ありません。これからはまた一から出直すつもりでホームページの更新をしていきたいと考えております。今後ともよろしくおつき合い下さい。

というわけで、再開第1弾はCD試聴記「シューベルトのAn die Musikを聴く」であります。

また、以前「クレンペラーのショパン」で「"Philharmonic Symphony Orchestra"の名称に関しては自信がない」と書きましたが、香港在住の読者からこれはニューヨークフィルに間違いない旨ご連絡をいただきました。わざわざMusic & Artsにも問い合わせて下さったそうです。ありがとうございました。


(An die MusikクラシックCD試聴記)