PAS DE DEUX
Romantic flute music
フルート演奏:エッカート・ハウプト
ピアノ演奏:アルカディ・ゼンジペル
録音:1991年、ルカ教会
BERLIN Classics(輸入盤 BC 1039-2)
収録曲
- フリードリッヒ・クーラウ(1786-1832):序奏とロンド・コンチェルタント 作品98
- フンメル(1778-1837):フルートソナタ ニ長調作品50
- カミーヨ・シューマン(1872-1946):フルートソナタ ト長調作品123
- ショパン(1810-1849):フルートとピアノのための変奏曲
- モシュコフスキー(1854-1925):スペイン舞曲 作品12
地味な作曲家のフルート曲ばかりを集めた地味なCDである。フルート奏者の世界では有名曲ばかりなのかもしれないが、私はこのCDを手にするまでほとんどの曲を知らなかった。
しかし、知らない曲があるということは幸せなことだ。私はこのCDを聴いてとても幸せな気持になった。どの曲も本当に楽しい。ショパンの作と伝えられる変奏曲など、実にかわいらしい。これは、ロッシーニのオペラ「シンデレラ」の中の「もう悲しくなく」の旋律をもとにしたわずか5分あまりの短い曲である。発掘されたのは1955年で、ショパンの作ではないとも言われているようだ。が、ショパンの作でなくとも私はいっこうに構わない。楽しい音楽であればそれで十分だと思う。続くモシュコフスキーの「スペイン舞曲」(原曲はピアノ連弾)も憂いに満ちていて思わずうっとり。さすがにこのCDは「Romantic
flute music」と謳っているだけあって、ロマンチックな気分にさせてくれる。もちろん、いつも壮大な音楽ばかり聴かせられてきた女房さんもニンマリ(*^-^*)。我が家のコーヒータイムにはこのCDのリクエストが増えてきた。
こうしたサロンミュージック的な曲集は、一歩間違うと空虚な演奏になり、市場からあっという間に消えていってしまう。特に、地味な奏者が地味な曲を演奏し、地味なレーベルから発売される場合、廃盤の憂き目に遭わされる確率が高い。このCDは1992年に発売されたらしいが、細々とではあっても市場で生き残ってきた。なぜか。やはり演奏がいいからだろう。フルートの音色も技術も冴え渡っている。このフルート奏者の実力を知る人が密かにこのCDを買っているのだろう。音質も優れているから、もし輸入盤を扱う店でこの曲を手にしたら、迷わずに買うことをお勧めする。BERLIN
Classicsは目立たないレーベルながら、優れた録音を紹介し続けている。大変好ましい。
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