交響曲第5番 イ長調 Hob.T-5
「ハイドンの交響曲を全部聴こう」(略称「ハイドン・マラソン」)
■ 本編
■ 楽曲について
作曲 1760/61年(ゲルラッハ1996年による)
編成
オーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、 通奏低音
構成 第1楽章:Adagio,ma non troppo
第2楽章:Allegro
第3楽章:Menuet & Trio
第4楽章:Finale,presto■ 録音データ
録音年月 第1楽章
第2楽章 第3楽章 第4楽章 ドラティ盤 1972年8月 4:59
6:07 3:36 1:49 フィッシャー盤
1990年6月 6:53 6:26 3:22 1:48 ■ 演奏について
フィッシャー盤
(1-5番)交響曲第3番に続く4楽章編成の曲。「続く」といってもホーボーケンの番号は実際の作曲順と必ずしも合致していないのですが・・・。
交響曲第5番は前半2楽章が後半に比べて2倍近くの長さで、この比率だけならまるでブルックナーの交響曲第7番のようです。
第1楽章はAdagioで、弦楽器の上でホルンの音がのどかに鳴り響きますが、途中からAllegroになるわけでもなく、ずっとゆっくりとしたテンポで演奏されます。第2楽章が情熱的なAllegroとなっていますから、これで緩・急のバランスを取っているようです。この第2楽章は音楽的にも充実していて聴き応えがあります。この曲はそこで終わらず、第3楽章Menuet & Trio に突入します。そのTrioではホルンとオーボエが絡み合ったり、ソロを披露したりしています。腕達者な楽団員の存在を彷彿とさせる楽章です。第4楽章は一気呵成のPrestoです。こういう音楽をハイドンは1960年から61年頃に書いていたわけで、この規模がもう少しだけ大きくなっただけで大交響曲が成立します。いや、このままだって立派な交響曲です。傑作と呼んで構わないのではないでしょうか。
ドラティ盤は交響曲としての立派な押し出しを強調したような演奏です。録音状態も若干ですが改善されています。これだけを聴いていれば不満は感じないでしょう。
一方、フィッシャー盤は交響曲という概念の中にある曲ではあっても、決して硬くなったり、重くなったりしない演奏で、大変好感が持てます。最新の研究を踏まえて、後から全集を作った者の強みを感じさせます。
2007年7月8日掲載、文:伊東
文:ゆきのじょうさん
録音年月 第1楽章
第2楽章 第3楽章 第4楽章 ヘルビッヒ盤 1973年 6:07
5:36 3:18 1:40 アルミン・タールハイム ハープシコード
ギュンター・ヘルビッヒ指揮シュターツカペレ・ベルリン
録音:1973年、ベルリン・キリスト教会
独ベルリン・クラシックス (輸入盤 0032772BC)この曲は完成された交響曲の様式からみれば、一風変わっていますね。第1楽章は序奏かと思えば延々と続き、楽章が進むにつれて演奏時間が短くなっていきます。何となくですが、モーツァルト/ディヴェルティメントK.137を連想してしまいました。「シンフォニー」と呼ぶより、「シンフォニア」の方が日本人的発想では合っている様に思います。だからと言って演奏はたやすいかと言えば、そんなことはなさそうです。管楽器については素人ですが、ホルンは全編に渡って大変そうです。
ヘルビッヒの指揮は、弛緩したところがまったくなく聴いていて楽しいです。特に最後のプレストは、煽ろうと思えばどこまでも出来そうな所を品格を保ちながら爽快に演奏しているところが気持ちが良いです。
2007年7月9日掲載、文:ゆきのじょうさん
An die MusikクラシックCD試聴記