ARCHIVE OF WHAT'S NEW?
2004年12月

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CD2004年12月28日:良いお年をお迎え下さい!

気がついてみれば今年ももうじき終わりです。皆様には1年間ご愛顧をいただき、誠にありがとうございました。11月には待望のアクセス100万件も達成しました。なかなか私自身の文章を掲載できないもどかしさを感じながら更新を続けてきましたが、多くの方のご訪問をいただき、大変嬉しく思っております。

来年はどんな年になるのか。環境的には厳しそうです。4月には我が家には2人目の子供が生まれます。それに伴い、妻が産休と育児休暇に入ります。そのため、コンサート自粛などの経費節減を行う予定です。妻にだけ育児をさせてコンサートに出かけるわけにも行きませんので、来年は私も自宅で育児に励もうと考えています。2005-2006年シーズンはスキーも取りやめ、さらにテニスも中断することになるかもしれません。CD購入枚数も3割減を目標にしていますが、そもそもじっくりCDを聴く余裕はあるのか・・・。あまり期待できません。4月以降は再び阿鼻叫喚の毎日を送ることになりそうです。2年間は辛抱でしょう。できる範囲での更新になりますが、何卒ご容赦下さい。

なお、誤解のないように書いておきますが、子供ができるというのは何事にも代え難いことです。お金で買うこともできません。このような幸せが私にも与えられたことをとても嬉しく思っています。

さて、今年は公私とも精神的に参っていたために、大規模な管弦楽をあまり聴けなくなりました。主にどんな曲を聴いていたかといいますと、モーツァルトのピアノソナタ、ベートーヴェンのピアノソナタ、シューベルト&シューマンのリートなどでした。逆にこうした曲をかなり真剣に聴き込むことができ、目を開かれる思いもしました。

今年最後にご紹介するのは、メゾ・ソプラノのキルヒシュラーガーが歌う子守歌集です。様々な作曲家による20の子守歌が収録されています。20曲目にはブラームスの有名な子守歌が収録されていて、私は深夜寝る前にこれ1曲のみを聴くことがあります。ピアノの伴奏はヘルムート・ドイチュ。この録音では2分に満たない短い曲ですが、これだけコンパクトな曲が1日の疲れを癒してくれるわけで、音楽とは不思議なものです。

CDジャケット

ララバイ(英文タイトル:「When night falls」)
ブラームス:子守歌、ほか
メゾ・ソプラノ:アンゲリカ・キルヒシュラーガー
録音:1999年、ロンドン
Sony Classical(国内盤 SRCR 2417)

明日からの年末年始は私の実家福島市に戻っております。皆様とお会いできるのは1月3日お昼過ぎとなります。皆様も良いお年をお迎え下さい。

 

CD2004年12月25日:ボックス・セット

青木さんの「コンセルトヘボウ管のページ」に「ベイヌム指揮コンセルトヘボウ管弦楽団ディスクレビュー (コメントつき不完全ディスコグラフィ)  ■ PART 5. RADIO RECORDING-3 ■」を追加しました。青木さん、原稿ありがとうございました。それにしてもすごい量ですね。

今日は親子で「ハウルの動く城」を見に行きました。原作がある映画ですが、原作に忠実なんでしょうか? 相変わらず宮崎駿の映画は難解です。場面場面はとても面白いのですが、見終わったあとも謎が解決されないまま残るので「うーむ」と考えてしまいます。

ところで、主人公ハウルの声はあの木村拓哉。声優の才能まであることに驚かされます。参りました。

 

CD2004年12月23日:「ワルトシュタインソナタ考」

あなたもCD試聴記を書いてみませんか」のコーナーに「ポリーニの「ワルトシュタインソナタ考」」を追加しました。全く同じ21日に掲載した私の文章もポリーニの「ワルトシュタイン」についてなのですが、同じCDについて書いた文章でも全く表現・レベルが違いますね。私ではとても松本さんのように書けません! 皆様、くれぐれも二人の文章を比較しないで下さいね!

ところで、以下に今ではAn die Musikの共同管理人になっている松本さんについて書きたいと思います。仲間内の話ですが、何卒ご容赦下さい。

今年は松本さんが若い頃に弾いたピアノ録音に大変な刺激を受けました。バッハの「ゴルトベルク変奏曲」、シューベルトの各ピアノソナタ、「即興曲」、シューマンの「交響的練習曲」、「幻想曲ハ長調」、リストの「ピアノソナタロ短調」などを聴きまくりましたが、中でも圧巻だったのはベートーヴェン・シリーズでした。「ハンマークラヴィーア」に驚いたことは以前この欄でも書きましたが、「ワルトシュタイン」ではそれ以上の衝撃を受け、他のピアニストによる演奏と比較試聴を繰り返す毎日でした。その結果として生まれたのが、21日のCD試聴記です。

松本さんの「ワルトシュタイン」を夫婦で聴いているときには、妻からも歓声が上がりました。松本さんの演奏を聴くまで、私は「ワルトシュタイン」という曲を特に好んで聴いたことがありませんでした。この曲は開放的であり、第2楽章の導入部以外にほとんど陰影を感じさせません。良く言えば気宇壮大で周囲を照らす太陽のごとき性格がありますが、悪く言えばあっけらかんとした脳天気さがあります。その曲を松本さんはすごい集中力で築き上げ、見事なテクニックで弾いています。極めて密度の高い演奏です。それ以来私は曲に対する認識を変えました。松本さんの演奏で「ワルトシュタイン」に目覚めたのであります。そのCDが市販されていないことは不思議です。

松本さんの「ワルトシュタイン」には、プロのピアニストによるどのCDと比べても圧倒的に格好いい場所があります。第1楽章の展開部から再現部に移行する部分です。正確に書きますと、140小節目以降音量をいったん落とし、ppになった後、左手が地を這うような悪魔的な伴奏をつける中で、右手が何かが飛び跳ねるような音型を奏で始め、音量を増していき、ffの怒濤のような響きの中で再現部になだれ込むところです。白熱どころではなく、まさに興奮のるつぼであります。それを聴いたときの驚きは今も忘れられません。

 

CD2004年12月21日:「ワルトシュタイン」

CD試聴記」に「ポリーニのベートーヴェンを聴く 後編 『ワルトシュタイン』」を追加しました。

 

CD2004年12月19日:何に対する「熱情」か?

ベートーヴェンの「熱情」について思うところを書いてみました。あらかじめお断りしておきたいのですが、あくまでも私個人の想像、妄想に基づく文章です。何卒ご了承下さい。

 

CD2004年12月18日:ポリーニのベートーヴェン

CD試聴記」に「ポリーニのベートーヴェンを聴く」を追加しました。余力があれば続編を書いてみたいところです。

 

CD2004年12月15日:徒然草

徒然草の第百二十七段に「改めて益なき事は、改めぬをよしとするなり。」とあります。この段はこれ一行だけですが、含蓄があります。なぜこんな言葉を引用するかと言いますと、クラシックCDのリマスタリングにそっくり当てはまるからです。

リマスタリングを新たにしなくても、既に聴感上問題ない状態であれば、わざわざ労力をかけてリマスタリングし直すことはないと私は思っています。12月12日に扱ったカラヤンの「英雄の生涯」はリマスタリングの価値があったかもしれません。逆に、昨日14日に扱ったケンペの「アルプス交響曲」はリマスタリングの必要性すらなかったかもしれません。リスナーの再生装置によって効果に差異が生じるでしょうから一概には言えないと思いますが、私の場合はそう感じています。

一方で、売上げを考えなければならないメーカーは、リマスタリングを時たま行わなければ商品を新たに創造しにくいという逼迫した状況下にあります。最新技術を投入すれば、対象となる音源の半数くらいは以前のリマスタリングより優れた音質になるかもしれませんが、必ずしもそうではないのは皆さんもご存知の通りです。

兼好法師が第百二十七段に込めた言葉の背景にはいろいろな事実がありそうです。兼好法師はあえてこれ1行しか書きませんでしたが、だからこそ説得力がありますね。

 

CD2004年12月14日:名盤とは何か

シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「ケンペ指揮の『アルプス交響曲』を聴く」を追加しました。「WHAT'S NEW?」用に書いたのですが、長くなったので久しぶりに「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に入れてみました。

 

CD2004年12月12日:再びリマスタリングについて

先般、EMIからカラヤン指揮ベルリンフィルによる「英雄の生涯」が24ビットリマスタリングで再発されました。有名な1974年の録音であります。

CDジャケット

R.シュトラウス
交響詩「英雄の生涯」作品40
カラヤン指揮ベルリンフィル
バイオリン:ミシェル・シュヴァルベ
録音:1974年5月23-28日、フィルハーモニー
EMI(国内盤 TOCE-13070)

この録音が再発されるという情報をキャッチしたのは、かなり前でした。発売日の12月8日にはCDショップに走り、早速買い求めてきました。何故かというと、私が持っていたCDに不満を感じていたからです。全く同じ音源によるCDを私は16年ほど前に購入していました。以下のジャケットのCDがそうです。

CDジャケット

EMI(国内盤 CE28-5041)

ここから先は私の部屋の決して優秀でもない再生機器を通しての話になってしまいますので、その点はご了解下さいね。旧盤では、CDの音圧を抑えてあるらしく、アンプのボリュームを通常よりかなり上げなければか細い音でしか鳴ってくれません。ボリュームをぐっと上げて聴くとまずまずの音にはなりますが、どうも音の分離が今ひとつのような気がしていました。特に冒頭で英雄の主題が扱われる4分間には不満が残ります。大規模な曲ですからエンジニアも思ったとおりの音で録音できなかったのかもしれません。

その後、このCDがリマスタリングされないかと待っていましたが、気がついたら16年も経っていました(97年頃に再発されているようですが、その時はどのような音だったのでしょうか?)。

さて、24ビットによるリマスタリングでどうなったか。通常のボリュームでも盛大に鳴ってくれます。弦楽器の動きなども旧盤よりもくっきりと聞こえてきます。これには安心しました。小さなセットで聴いても華々しく聞こえます。「さすがに最新技術によるリマスタリングの成果はたいしたものだ」と言い切ってしまいたいところです。が、今度は少しボリュームを上げるとうるさく感じます。旧盤は遠くで鳴っているような感じがしたものの、相当な音量でもうるさくはなりませんでした。

リマスタリングとは、こういうものなんですね。新技術を使ったとしても音源が変わるはずもなく、必ずどこかが犠牲にされるように思えます。

そこで旧盤をもう一度大音量で聴き返してみました。音の分離に関する不満は払拭されませんが、こちらの方がまだ自然に感じられ、図らずも興奮して聴いてしまいました。一体この16年間は何だったのだろうかと思います。24ビットリマスタリングによる最新盤にも長所があるわけですが、どちらの盤にも一長一短があると言うことでしょう。

ところで、私はこの演奏を輸入盤で見かけたことがありません。私が聴いているのは東芝EMIの音であると認識しています。EMI原盤による音を一度確かめてみたいと昔から思っているのですが、そのときに新たな発見があるのかどうか。そこまでこだわらず、この2枚でカラヤンの演奏を楽しんでおくのが順当かもしれませんね。

 

(An die MusikクラシックCD試聴記)