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2006年5月28日:小山実稚恵さん 昨晩は埼玉会館でフェドセーエフ指揮チャイコフスキー記念 モスクワ放送響のコンサートを聞いてきました。出し物はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」です。メインはチャイコフスキーの方に見えるかもしれませんが、私にとってはラフマニノフでした。そういうお客さんは他にも多数いたのではないかと思います。コンチェルトのソリストが小山実稚恵さんだったからです。
小山実稚恵さん、すごいですね。ただ今絶好調という気がします。いくらプロでもラフマニノフを最後まで弾き切るというのは決して楽ではないはずです。分厚いサウンドのロシアのオーケストラを相手に、しかも音響最悪の埼玉会館で演奏するわけです。いくら小山さんでも厳しいのではないかと心配していたのですが、ド迫力の熱演を聴かせてくれました。第3楽章の終わり頃に出てくる豪壮なソロには聴衆も目を見張ったのではないかと思います。彼女は技術的にも余裕綽々、オーケストラと聴衆相手にどこまで自分の音楽を届けられるか勝負に出ていたように感じられます。これほどのピアニストが、必ずしも国際的な活躍をしていないのは何故なのでしょうか。
さて、「チャイコフスキー記念」という枕詞がつくモスクワ放送響について。オーケストラの国際化が進んでいるとよく言われていますが、それでも固有の音というのはありますね。金管楽器の音は全くロシア的であります。ブビブビブバーッと土俗的な音が地の底から響くような感じです。あれでも国際化が進んだ後の音なのでしょうから、設立時の1930年には一体どんな音を聴かせていたんでしょう。
なお、このオーケストラはコントラバスをステージの後ろの壁際に並べていました。ウィーンフィルがムジークフェラインザールで演奏するとき、その並び方をしているのを写真で見たことがありますが、実例を見たのは初めてです。コントラバスが9人横に並んで、しかもブイブイゴシゴシ弾いている音が伝わってきてこれまたド迫力であり、壮観でした。オーケストラは視覚だけでも楽しめますね。
2006年5月26日:バンベルク響 今日はジョナサン・ノット指揮のバンベルク響を聴いてきました。場所は・・・さいたま市文化センター。私の家からはタクシーで10分ほどのところにある多目的ホールであります。なんでまたこんなところでコンサートをやることになったのかさっぱり分かりませんが、大好きなバンベルク響が地元さいたまに来てくれるのと、庄司紗矢香さんがソリストとして登場するので早めにチケットを予約していました。
さて、会場に行ってびっくり! 小学生、中学生、高校生がわんさか。小学生は引率の先生付きですごい数でした。中・高生の中にはジャージで来ている人も! どうなるのだろうとちょっと心配になりましたが、ほとんどの皆さんはとても真面目に音楽を聴いていたようでした。小学生の頃からバンベルク響を聴けるなんて幸せですねえ。インターミッションでは焼きそばや肉まん・あんまんも販売されていました。そりゃ小学生から高校生が夜の8時、9時まで外にいたらお腹がすくに決まっています。肉まん・あんまんはあっという間に売り切れていました。こんな微笑ましい光景をクラシックのコンサートで見られるとは・・・。招聘元は梶本音楽事務所でしたが、なかなかやりますね。
演目は、ベートーヴェンの「エグモント」序曲、プロコフィエフのバイオリン協奏曲第2番、ベートーヴェンの交響曲第7番でした。プロコフィエフのソリストが庄司紗矢香さんです。私は庄司紗矢香さんの姿を近くで拝みたいがために前列から10列目、中央近くの席を取っていたのですが、舞台に現れた彼女を見ただけでにやけてしまう有り様です。おじさん丸出しですが、きっと紗矢香さんは許してくれるでしょう! 庄司紗矢香さんはオーケストラを相手に悪戦苦闘していましたが、よく頑張りましたね。オーケストラと一緒に協奏曲を弾くのは、ピアノの伴奏でリサイタルを開くのとは全く勝手が違うようです。彼女も経験を積みながら成長していくといいですね。
さて、ジョナサン・ノット指揮バンベルク響のベートーヴェンについてです。これは猛烈に面白かったです。どうやらノットさんは大変血気盛んな人らしく、ゴツゴツした質実剛健なベートーヴェン、熱烈なベートーヴェンを目指しています。それこそ表面的にきれいな仕上がりよりもダイナミックで力強い音楽の流れを優先していると感じました。木管楽器がやや弱体でしたが、ノットさんとバンベルク響渾身のベートーヴェンでした。聴いていて私はすっかり体が熱くなりました。ストレートに自分たちの音楽の方向性をさらけ出しているのを聴くのは理屈を超えて楽しいものです。
なお、交響曲の第1楽章にはオーボエの即興演奏のようなフレーズが挿入されていました。新ベーレンライター版に基づく演奏だったわけです。
アンコールにはリゲティの「コンチェルト・ロマネスク」が演奏されました。この曲は各セクションに超絶技巧を要求していますが、ベートーヴェンで不安定だった木管楽器群は楽々と難曲を吹きこなしていました。演奏とは不思議なものです。
2006年5月15日:お詫び 本日から連載予定の「私のモーツァルト」の開始を6月5日(月)に延期いたします。連載は毎日していくのではなく、少し間を空けながら進めることにします。それも、今年いっぱいの課題にしたいと思います。
本日からの連載を期待していた方も多いかと思いますが、何卒ご容赦下さい。こうなった理由は・・・非常に恥ずかしいのですが、壮大なテーマを自分に設定してしまったため、いろいろ書こうとして収拾がつかなくなってしまったことにあります。仕切直しにちょっと時間を下さい。
なお、これに伴って皆様からの原稿もまだまだ受け付けます。年内は原稿受付というふうに変更いたしますのでよろしくお願いします。
2006年5月7日:CDとの付き合い方 ゴールデンウィークは女房の田舎である青森県八戸市に行ってきました。着いてみると、桜がちょうど満開! 公園を歩けば、目の前まで伸びている枝に桜の花がどーんと見えてすばらしかったです。おいしい魚もたくさん食べてきましたので、また体重が増えてしまったような気がします。体重計が恐いです。
女房の実家にも私の実家にも、音響機器がありません。そのため、田舎にいる間はCDを聴くことができません。昔は「不便だなあ」などと考えていたのですが、毎年のことですし、CDを全く聴かない生活があってもいいだろうと思うようになりました。困ることなど、もちろん何一つありません。
また、最近では自分の部屋の居間にいるときもCDをなるべくかけないようにしています。普段は家族にはなるべく邪魔にならない音量で、邪魔になりそうにない無難な曲を選んでCDを聴いていた(かけていた)のですが、ある時、女房は「できればやめてほしい」ようなことを口にしました。我が家ではテレビをほとんど見ないので、CDさえなければ静寂な空間ができます。子供を育てるにも、CDの音など百害あって一利なしなのかもしれません。多分女房にとっては私のCDの音は音楽などではなく、ただの騒音なのでしょう。育児書にも、「子供にとっての音楽はお母さんの歌であってCDから流れてくる音ではない」と書かれていることがあります。恥ずかしながら、私も居間で聴いているときは真剣に聴くことがあまりありません。ただのBGMにしかなっていないこともあります。それならCDなんかかけないで、静かな生活を楽しんだ方が良いと私も考え始めました。
しかし、平日は自分のリスニングルームまで辿り着けないことがあります。そういう日にはCDを居間で聴かせてもらっているのですが、それも完全にやめてしまった方がいいのかな、とさえ思っています。
CDをとっかえひっかえ聞き比べするのはクラシック音楽ファンの普通の楽しみ方だと思いますが、それで本当に豊かな音楽生活を送っていることになるのか、私はちょっと疑問に思っています。ちゃんと聴いていないのであれば聴かない方がいいかもしれません。CDとの付き合い方を考えさせられたゴールデンウィークでした。
2006年5月3日:ファジル・サイのベートーヴェン 「CD試聴記」に「ファジル・サイによるベートーヴェンのピアノソナタを聴く」を追加しました。
2006年5月1日:オフ会 「オフ会のお知らせ」を追加しました。ふるってご参加下さい。
(An die MusikクラシックCD試聴記)