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2006年4月

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CD2006年4月30日:仲道郁代さん

DVD・BOOKという形式の出版物がありますね。最近私は仲道郁代さんのDVD・BOOKを買いました。なぜって、・・・そりゃ、本屋さんでこんな表紙で私を見ている本があったら買ってしまいませんか?

DVD・BOOK

DVD・BOOK
至福のピアノ 弾く・聴く・楽しむ
仲道郁代、講談社

仲道郁代さんにとってこれは初めての著書ではありません。1997年に音楽之友社から「仲道郁代の音楽学校 ステージの光の中から」を出版しています。既にその中で仲道さんは音楽に対する基本的な考え方を述べていまして、今回のDVD・BOOKを読んでいたり、見ていたりしますと、旧著とほぼ同様の内容がかなり盛り込まれています。彼女の考えていることを活字で知りたいのであれば、おおよそ旧著を読めば十分です。が、DVDになると、映像と音が付きます。これはやはり大きいですね。音楽を言葉で表すのは非常に難しいと誰もが思っているでしょうが、このようなDVDならば音や映像を交えて自分の考えを説明できます。

ブラームスの「間奏曲 作品118-2」では、その曲を作っているときのブラームスの心情を、仲道郁代さんが独白しながら演奏しています。その独白を聴いていると、音楽にぴったりマッチしているように思えます。ブラームスのファンからは多くの異論が出そうですが、非常に説得力があって面白いです。これはDVDでもなければできないことですね。

ところで皆さんは仲道郁代さんをどう思っていますか? 売り出し方だけを見るとアイドルそのものという気がしますが、今年はデビュー20周年にあたり、演奏家として最も充実した時期に入っているように思えます。彼女はつい先頃まで私の住むさいたま市のさいたま芸術劇場でベートーヴェンのピアノソナタ全曲のレクチャー・コンサートを順次行っていまして、今年3月に「ハンマークラヴィーア」で終了しました。私はレクチャーコンサートのチケットを買っていたこともあったのに、結局は一度も足を運べなかったことを大変悔やんでいます。願わくば、このようなDVD・BOOKで再現してくれないものでしょうか。需要はあると思うのですが・・・。

 

CD2006年4月29日:ビーバー

あなたもCD試聴記を書いてみませんか?」のコーナーに「ビーバーのミステリー・ソナタを聴く」を追加しました。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。この文章を読んでビーバーの該当曲を聴きたくならない人がいようか、というすごい内容です。

 

CD2006年4月23日:モーツァルトの「魔笛」

CD試聴記」に「アバド指揮のモーツァルト「魔笛」を聴く」を追加しました。

そういえば、「モーツァルト生誕250年記念企画 『私のモーツァルト』」の原稿をお待ちしております。ぜひゴールデンウィークの間にでも原稿をまとめてみて下さいね!

 

CD2006年4月18日:キーシン

今日はサントリーホールでキーシンのピアノ・リサイタルを聴いてきました。演目は以下のとおりです。

  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第3番 ハ長調 作品2-3
  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第26番 変ホ長調 作品81a「告別」
  • ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 作品20
  • ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31
  • ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39
  • ショパン:スケルツォ第4番 ホ長調 作品54

ベートーヴェンとショパンの間に休憩があり、メインプログラムが終了した後例によって何曲ものアンコールがありました(シマノフスキ:エチュード変ロ短調、 ショパン:エチュード嬰ハ短調、 リスト:ハンガリー狂詩曲第10番、ショパン:ワルツ第7番、ショパン:ワルツ第6番「子犬」 )。前半のベートーヴェンだって立派な演奏だったのですが、ショパンのカッコ良さったらありませんでした。スケルツォを4曲を続けて聴くのはあまり好きではないのですが、私は1曲毎に痺れてしまいました。第2番を弾いているキーシンを見てたら、まるで後光が差しているようです。テクニックがあって、歌があって、さらにステージで演奏する音楽家としての光り輝くようなオーラがあって、と全てが揃っています。会場は9割が女性でしたが、女性だけではなく、男だってショパンを弾くキーシンには痺れます。

一般論として、私が家でCDを聴く場合、ベートーヴェンとショパンがあったらまず間違いなくベートーヴェンのCDを選びます。今日のリサイタルも前半の方が楽しめるかな、と思っていたのですが、ショパンの演奏に聴き惚れてしまいました。段違いにショパンの出来映えの方が印象的でした。

キーシンはこれからどのような道を歩むのでしょうか。十分立派なベートーヴェンを聴かせてくれますが、本質は古典派ではなく、ロマン派以降の音楽に向いているのかもしれません。少なくとも今晩のショパンを聴いた後では、「この人はショパンの大家だ」と思わせられます。オールラウンドプレーヤーですが、将来はどうなるんでしょうね。ルービンシュタインのような人になるのでしょうか。

 

CD2006年4月16日:シュタットフェルト

CD試聴記」に「シュタットフェルトの『ゴルトベルク変奏曲』を聴く」を追加しました。

このピアニストは10月19日生まれ。私と同じ誕生日です。でも、同じなのは誕生日だけですね。きれいな顔立ち、圧倒的なテクニック。私にないものを二つとも持っている若者です。

 

CD2006年4月15日:ドレスデンの音

シュターツカペレ・ドレスデンのページ」を久々に更新、「デイヴィス指揮のシベリウス:交響曲第2番を聴く」を追加しました。


3月にテニスを再開しましたが、どうも左足の調子が良くありません。ついに1、2年はテニスを断念することにしました。テニスというのはパーンと飛び出したり、とにかく瞬発力が必要なのですが、これが足の負担になるようです。テニスに代わる夏のスポーツ、できれば有酸素運動がないものか検討中ですが、いいスポーツを思いつきません。年を取ると体が思うようにならなくなるものなのですね。悲しい現実ですが、受け入れざるを得ません。

一方、我が家では長女が10日(月)から小学校に通い始めました。小さな体にランドセルを背負い、黄色い帽子をかぶって朝私と家を出ます。こちらは私の楽しい日課の始まりです。

 

CD2006年4月6日:「ジャズ構造改革」

青木さんに面白い本を教えて頂きました。「ジャズ構造改革 熱血トリオ座談会」(彩流社、後藤雅洋・中山康樹・村井康司著)です。ジャズに関する本なのですが、書いてあることがそっくりそのままクラシック音楽にも当てはまるので、読んでいて頷くことしきりです。以下に紹介しますと、例えばこんなことが書いてあります。

  • 新譜の質がデフレ・スパイラルに入った。(p.99)
  • 「どんな出来の悪いコルトレーンの未発表だって最近の新譜よりはインパクトあるもんね。」(p.97)
  • 「オレだったら、新譜1000円で、ブルーノート3000円だね。だって、ブルーノートは評価が確立しているわけよ。たとえばロリンズの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』とかさ、3000円でも買うやつは買う。だって絶対にいいんだもん。でも新譜って、いいか悪いかわからないんだから、ほんとうは500円くらいで出すべきなんだよ。」(p.99)
  • 「ろくでもない新譜を買いまくってるとさ、ちゃんとしたものを聴く時間がなくなっているんじゃないか。」(p.297)

どうやら新譜が面白くなく、過去の演奏家の録音の方がよほど面白いらしいです。「ジャズはすでに終わっている」という発言まであります。その一方で過去の演奏家、過去の録音に対する賞賛があります。ジャズも時代が作った部分があると私は思っていますからよく理解できます。この本の最後には対談をした三人がほぼ一様に「(オレは)名盤に生きる」と言っています。くだらない新譜を聴くことにもはや意味を見いだせなくなっているのですね。なんだかすごいです。新譜の価格設定など、私は大いに賛成しますが、この声はメーカーに届くのでしょうか?

さて、この本を紹介したのはホームページ制作者に対する批判が含まれているからでもあります。結構けちょんけちょんですね。

  • 「つまり全部のサイトがほとんど同じなんです。取り上げるアルバムやミュージシャンも同じ、書いていることもたいして変わらない。評論家的なスタンスや表現も同じ。ぼくがいちばん違和感をもったのは、個人的なことを書くサイトなのに、他人のことを気遣って入門コーナーを設けたり、“個人”を離れて、すごく啓蒙的な立場からサイトを運営している人が多いということ。」(p.6)
  • 「本来サイトって、個人が自由な立場で発言をするスペースなんだから、多少稚拙でも好きなことをいえばいいわけですよ。信じられないのは、それにもかかわらず他人の文章をそのままコピーしてペーストする人がいるんですよね」(p.11)

まあ、身につまされるようなことがたくさん書いてあります。もっとも、私の場合啓蒙的な立場を取っているつもりは全くありません。周りからはどう見えているか分かりませんが、自分が面白いと思ったものをその都度書いているだけで、だからこそ7年半も続けてこれたわけです。面白くもなく、書く意欲も起きないもののために人生の大事な時間を費やすことなど私にはできません。それと、私はAn die Musikの文章でどこかから「引用」をしたことはあっても、コピー・ペースをして自分の文章を作ったことはありません。引用を明記しているところ以外はすべて私の言葉で書かれています。

そうは言っても、この本の対談者達の言うことには真実が含まれています。実は私も完璧な本音を書いてはいないのです。褒め言葉はともかく、いやなものや嫌いなものをあからさまに書くことはしていません。その理由は、完璧な本音で書くと不要な諍いをこのサイト上で次から次へと引き起こすことになるからです。そうなることが分かっているのでさすがに躊躇されます。

だからといって私はこのサイトを意味がないものだとは考えていません。

そもそもAn die Musikを立ち上げたのは、少なくとも7年半前にはこのようなサイトがなかったからです。クラシック音楽のサイトはいくつもありました。ただし、マニア的過ぎて、普通のクラシック音楽ファンには敷居が高いものが多いと私は考えていました。音楽を楽しむのにどうして敷居が高くなければならないのか、という疑問は過去においても、そして今でも持っています。

An die Musikは、ごく普通のクラシック音楽ファンが集える場所として企画され、運用されています。別に自分で評論家を気取りたいわけでもありません。このページにたまたまでも集まってきてくれた人たちが、「クラシック音楽ってやっぱり楽しいね、面白いね」と思ってくれる瞬間があれば私としては幸せです。あまり難しいことを考えてサイト運営をしているわけではないのです。そういうサイトがあったっていいのではないかと私は思っているのですが、いかがでしょうか。

 

CD2006年4月5日:「幻想交響曲」聴き比べ

「デイヴィス指揮の幻想交響曲を聴く」に続編を追加しました。青木さん、原稿ありがとうございました。

青木さんが最後に挙げられたショルティのLPですが、私も持っていましたよ。懐かしいですねえ。被写体として優れているとはあまり思えなかったショルティでしたが、ジャケットにはしばしば登場していましたね。海外ではあの風貌が人気だったのでしょうか?

 

CD2006年4月2日:デイヴィス指揮の「幻想交響曲」

青木さんの「コンセルトヘボウ管のページ」に「デイヴィス指揮の幻想交響曲を聴く」を追加しました。青木さん、原稿ありがとうございました。コンセルトヘボウ管のファンの間で絶大な評価を得ているデイヴィス盤が出てきましたね。

今日は上野で開催されているプラド美術館展を見てきました。大型の絵が多く、近くで見ると全体像がつかめません。ちょっと離れて見ようとすると今度は人だかりで見えません。すごい人出でした。

 

(An die MusikクラシックCD試聴記)