サンソン・フランソワのドビュッシーを聴く

文:松本武巳さん

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■ インデックス

 

第4回 前奏曲集第2巻(第11曲を除く)を聴く(2009年8月30日掲載)

第3回 前奏曲集第1巻−第7曲〜第12曲−を聴く(除く第8曲)(2008年8月13日掲載)

第2回 前奏曲集第1巻−第1曲〜第6曲−を聴く(2008年5月11日掲載)

第1回 前奏曲集第1巻を聴く(総論)(2008年4月22日掲載)

 

■ はじめに

Histoires de Mille vies

 サンソン・フランソワは1924年に生まれ、1970年に没したフランスのピアニストです。彼は、ショパンとラヴェルに関して、ともに全集と呼べる程度の録音を残し、ドビュッシーもほんの少しの曲を残して全集完成となる寸前に、心臓発作で急逝したため、たとえば前奏曲は24曲中23曲が残される結果となりました。しかも急逝したその日に、ドビュッシーの集中セッションが組まれていました。あと何日か長く生きていれば、間違いなく全集となったであろうことを、今なお無念に思い続けている人は、少なくとも日本とフランスでは相当多数であろうと信じます。その他は、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンは多少の録音を残しており、シューマン、リスト、プロコフィエフ、フォーレ、フランクなどにも佳演を残していますが、ブラームスは一生涯ほとんど手を染めなかったようです(音楽院の入試で弾いたパガニーニ変奏曲の他は、ヘンデル変奏曲のみ)。また、自作のピアノ協奏曲やピアノ曲、映画音楽等の作曲もごくわずかですが残しています。ここで、まず、ドビュッシーの録音を総覧した上で、曲ごとに試聴記を書いていきたいと思います。そして、最後にフランソワの演奏論と言いますと大げさですが、多少の思いをつづりたいと思います。何回で終わるのかは判りませんが、ドビュッシーの全録音の試聴記を書かせていただくのが前提となりますので、少々のお付き合いをお願いできますと、書き手としてはとても幸福な思いに浸れます。

 なお、フランス音楽に関しての誤解や偏見も、まだまだ日本では多いと考えまして、フランソワのドビュッシー演奏論に入る前段階として、ドビュッシーの作曲技法の特質と音楽の魅力、さらにフランス音楽自体の特質に関しての、小文を書かせていただくことにしたいと思います。

 

■ フランソワの録音リスト(正規放送音源を含む)

 

2つのアラベスク(1888−91年作曲)

 

第1番(69年録音)
第2番(69年録音)

 

夢(1890年作曲)

 

(69年録音)

 

ベルガマスク組曲(1890年作曲)

 

第1曲(68年録音)
第2曲(68年録音)
第3曲「月の光」(55年、61年、68年、69年録音)
第4曲「パスピエ」(61年、68年、69年録音)

 

ピアノのために(1896−1901年作曲)

 

第1曲「前奏曲」(61年、68年、69年録音)
第2曲「サラバンド」(61年、68年、69年録音)
第3曲「トッカータ」(55年、61年、68年、69年録音)

 

版画(1903年作曲)

 

第1曲「塔」(69年録音)
第2曲「グラナダの夕べ」(69年録音)
第3曲「雨の庭」(69年録音)

 

喜びの島(1904年作曲)

 

(61年、69年録音)

 

マスク(仮面)(1904年作曲)

 

(69年録音)

 

映像

 

第1集(1905年作曲)
第1曲「水の反映」(70年録音)
第2曲「ラモー礼讃」(70年録音)
第3曲「運動」(70年録音)

 

第2集(1907年作曲)

 

第1曲「葉ずえを渡る鐘」(70年録音)
第2曲「荒れた寺にかかる月」(70年録音)
第3曲「金色の魚」(70年録音)

 

子供の領分(1906−1908年作曲)

 

第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」(68年録音)
第2曲「象の子守歌」(68年録音)
第3曲「人形のセレナーデ」(68年録音)
第4曲「雪が舞っている」(68年録音)
第5曲「小さな羊飼い」(68年録音)
第6曲「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」(68年録音)

 

レントより遅く(1910年作曲)

 

(61年、68‐69年録音)

 

前奏曲集

 

第1巻(1909−1910年作曲)

 

第1曲「デルフィの舞姫」(68‐69年、69年録音)
第2曲「帆」(68‐69年録音)
第3曲「野を渡る風」(68‐69年録音)
第4曲「音と香りが夕べの大気を漂う」(68‐69年録音)
第5曲「アナカプリの丘」(68‐69年録音)
第6曲「雪の上の足跡」(68‐69年録音)
第7曲「西風の見たもの」(68‐69年録音)
第8曲「亜麻色の髪の乙女」(61年、68‐69年、69年録音)
第9曲「途切れたセレナード」(68‐69年録音)
第10曲「沈める寺」(58年、61年、68‐69年、69年録音)
第11曲「パックの踊り」(61年、68‐69年録音)
第12曲「ミンストレル」(61年、68‐69年録音)

 

第2巻(1910−1913年作曲)

 

第1曲「霧」(69‐70年録音)
第2曲「枯葉」(69‐70年録音)
第3曲「酒の門」(69‐70年録音)
第4曲「妖精たちの踊り子」(69‐70年録音)
第5曲「ヒースの茂る荒地」(69‐70年録音)
第6曲「変わり者のラヴィーヌ将軍」(69‐70年録音)
第7曲「月の光が降り注ぐテラス」(69‐70年録音)
第8曲「水の精」(69‐70年録音)
第9曲「S.ピックウィック頌礼讃」(69‐70年録音)
第10曲「カノープ」(69‐70年録音)
第12曲「花火」(58年、67年=映像、69年、69‐70年録音)

 

英雄的な子守歌(1914年作曲)

 

(69年録音)

 

12の練習曲(1913−1915年作曲)

 

第7曲「半音階のための」(70年録音)
第8曲「装飾音のための」(70年録音)
第10曲「反復音のための」(59年、70年録音)
第11曲「アルペジオのための」(58年、61年、70年録音)
第12曲「和音のための」(59年、70年録音)

 

(2008年4月22日〜、An die MusikクラシックCD試聴記)