ARCHIVE OF WHAT'S NEW?
2008年10月
2008年10月30日(木):鳥のカタログ
「あなたもCD試聴記を書いてみませんか?」のページに「メシアン生誕100年記念 「鳥のカタログ」」を追加しました。文は青木さんです。青木さん、原稿ありがとうございました 。
1年前に、このページ上でメシアンのCDが取りあげられるとは一体誰が予想したでしょうか。メシアンもこうした機会に聴いてみるとめっぽう面白く、はまってしまいます。やはりアニヴァーサリーというのは意味があるのですねえ。
2008年10月29日(水):バッハ
ゆきのじょうさんの「わが生活と音楽より」に「再び、ジャズでバッハを聴く」を追加しました。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。
2008年10月25日(土):ハンマークラヴィーア
松本さんの連載「アルフレッド・ブレンデル ベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」を聴く」に「【第4部「ベートーヴェンのピアノソナタ」覚え書き】(その1)」を追加しました。
このシリーズは第3部まで書いたところで、第4・5部をスキップ、第6部を先に書いたところで一休みし、今度は第4部に戻ってきたわけですね。いよいよ完結が近づいてきていますが、そこに辿り着くまでにもまだまだ大量の原稿がありそうです。この覚え書きも「その1」ですものねえ。松本さん、続編を期待していますよ。
2008年10月20日(月):トゥーランガリーラ交響曲
「あなたもCD試聴記を書いてみませんか?」のページに「トゥーランガリーラ交響曲を聴く」を追加しました。文は松本さんです。松本さん、原稿ありがとうございました。
私が「トゥーランガリーラ交響曲」を初めて聴いたのは高校生1年生の頃でした。これがモーツァルトやベートーヴェンと同じクラシック音楽だとは到底思えませんでしたし、その後もう一度聴いてみたいとも思えませんでした。有り体に言って、ばかばかしくて長時間をこの曲とともに過ごせなかったのであります。
それから四半世紀以上の時が流れました。いろいろな音響にすっかり慣れたせいなのか、今聴いてみると随分楽しい曲だと思ってしまいます。びっくりですねえ。おどろおどろしく感じたところは今や「なかなかイカシテイル」と感じられます。昔妙に感じられたところがかえって大きな魅力に変わっています。第4,第5楽章なんてビッグバンドジャズそのものではないですか。
というわけで私にもメシアン・ルネッサンスが訪れようとしています。嘘だと思うあなたも、ぜひCDを聴いてみて下さい。
2008年10月13日(月):私を泣かせてください
先日封切られた映画「宮廷画家ゴヤは見た」を観てきました。面白かったら絵が好きな女房にも勧めるつもりでいたのですが、あまりにも凄惨な内容だったのでさすがの私も「ぜひ」という気にはなれませんでした。
ゴヤといえばクラシック音楽ファンにもなじみ深い「巨人」の絵がありますが、傑作といわれる絵の中には「マドリード、1808年5月3日」や「わが子を食うサトゥルヌス 」など衝撃的なものがあります。明るくて楽しい話ではないだろうなとは予想していましたが、その予想をはるかに超える暗い内容でした。
この映画にもクラシック音楽は存分に取り入れられています。レスピーギ作曲「ローマの松」などが実に劇的に使われていました。その中で、最も強い印象を与えたのがヘンデルの歌劇「リナルド」からの一節「私を泣かせてください」でした。
ヘンデル作曲になるこの有名なアリアは、映画の重要人物に絡んで使われます。皆さんも「スターウォーズ エピソード1」に華麗なファッションで現れたアミダラさんをご存知かと思いますが、あれを演じたナタリー・ポートマンがその重要人物です。
舞台は18世紀から19世紀初頭のスペイン。彼女は無実の罪で異端審問の拷問にかけられたあげく、15年間牢獄に閉じこめられます。そこから開放された時、彼女は正気を失い、病気になっていて、顔は歪み、言葉もまともにしゃべることができません。凄まじいシーンです。ナタリー・ポートマンの美貌は見る影もありません。で、彼女が出獄する際に流れるのがアリア「私を泣かせてください」です(この曲は他にも何度か出てきます)。
歌詞は以下のとおりです。
苛酷な運命に涙を流し、自由に憧れるままにさせてください。
お慈悲ですから、私の苦しみの鎖が悲しみそのものによって打ち壊されますように!
(あずさまゆみ訳、DECCA、歌劇「リナルド」)この曲が流れてきたとき、私は最初「上手な使い方をするなあ」と感心していたのですが、どうも曲が普通に終わらないのです。絶叫というか悲鳴に近いような声によって曲が閉じられます。映画に併せてそうしたのかもしれません。ともかく聴いていてぞっとするような歌に変貌しています。
家に帰って、チェチーリア・バルトリの歌うCDを聴いてみると、それはそれでしんみりとした歌になっていて素晴らしいのですが、映画の影響が強すぎて、「これは生ぬるい」と思ってしまいます。これは何としたことでしょうか。
映像に結びつけられた音楽は、聴き手の耳に深く刻み込まれがちです。特にこうした凄惨な映像と直結すると、その後の鑑賞に少なからぬ影響を与えてしまいます。私はこれからヘンデルを聴く度にスペインの異端審問を思い出しそうなので困っています。クラシック音楽はありとあらゆる映像作品に使われています。皆さんも私のように困った経験をお持ちではないですか?
(An die MusikクラシックCD試聴記)