ARCHIVE OF WHAT'S NEW ?
99年3月後半
3月31日:クレンペラーのページに「モーツァルトのグラン・パルティータ、ほか」を追加しました。どこに入れようか迷ったのですが、うまい場所がなかったので、協奏曲と一緒にしてあります。
3月30日:泣けた夕方
とあるCDショップに立ち寄り、新譜を物色していると、何やら変な音楽が流れてきました。曲はすぐ分かりました。ベートーヴェンの交響曲第7番。それはともかく、演奏がとても変です。というより、笑えてしまうのです。指揮者は至る所で奇妙な音を鳴らし、聴衆に大サービスをしているようでした。オケの面々がどんな気持ちで演奏したか、知る由もないですが、指揮者は楽しかったでしょう。指揮者のやりたい放題の演奏で、いわゆる爆演というやつです。おそらく聴衆は笑いをこらえるのに苦労したか、あまりの爆演に度肝を抜かれて声も出なかったかどちらかでしょう。そんな演奏でした。まさかこんな演奏がクレンペラーではあるまいと思ったものの、前回のこともあったのでちょっと気になりました。レジのところに恐る恐る近づいてみると、それはあのビーチャムの演奏でした。クレンペラーでなくてよかった!それにしても、ビーチャムさん、やっぱりおもしろおじさんだったんですねえ。さぞかし得意満面だったことでしょう。CDジャケットをよく見ると、BBC Legendsの第2弾のようです。いやー、ついにあの名シリーズの続編が出たんですね。「これは早速何枚か買って帰らねば\(^o^)/」と思って、財布を見ると、あろうことか、お金が足りない!これにはがっかりしました。しかたないのでスクロヴァチェフスキーのブルックナー交響曲第3番のCDだけ買って帰りました。しめて780円。レジのお姉さん、きっとしけたオヤジだと思ったことでしょう。皆さん。「出かける時は忘れずに」ですよ。
3月29日:ぶるる。もうすぐ4月になるというのに寒いですね。今日はCD試聴記に「カリンニコフの交響曲第1番」を追加しました。
3月28日:ミシャ・マイスキー
うちの女房さんはクラシック音楽は門外漢なのですが、昔からチェロのミシャ・マイスキーが好きなようです。何でもあのキリストを彷彿とさせる風貌がたまらないそうです。それで、NHK教育テレビでやっていた「ステージドア」につきあわされたのですが、マイスキーの昔の写真を見ると、全くキリストっぽくないですね。子供の頃は丸い顔をしているし、学生の頃ものっぺらな顔です。それどころか、話を聞いていると、チェロは始めたのは8歳になってからで、その年にたばこを止めたとか言っています。えっ?8歳でたばこを止めるって、どういうことだろう?ロシアっていう国では一体何歳からたばこを吸うのが普通なんだろうかと首を傾げてしまいました。もしロシアでもそんな年でたばこを吸うのが普通でないのなら、マイスキーは子供の頃はキリストっぽいどころか、ただのクソガキだったのかもしれません。マイスキーはご存知のとおり、20歳過ぎて強制収容所にぶち込まれたわけですが、その強烈な体験があんなすばらしい風貌を作り上げたのでしょうか。そうとしか考えられません。全く皮肉なものです。
3月26日:クレンペラーのページに「シューマンの<マンフレッド序曲>と<ゲノヴェーヴァ序曲>」を追加しました。
3月25日:猿でも分かるショスタコーヴィッチ
今日の朝日新聞夕刊に吉田秀和さんのウィーンフィル演奏会評が出ていました。でも何となく、ウィーンフィルについて書いてあるというよりは吉田秀和さん自身の音楽観の方に重きが置かれているような文章でした。この文章の中で吉田さんは面白いことを言っています。その部分を抜き出してみます。
私は実はショスタコーヴィッチの第5はどうも苦手で、よく理解しているとはいえない。真実味あふれ、涙なくしてはきけない悲哀感のみなぎり、マーラーばりのアイロニーとほほ笑みの同居、少し安っぽい感じの万歳三唱的勝鬨の声と威嚇的大音響の相次ぐ炸裂。一つ一つは分からなくもないが、それを一つにまとめて理解しようとすると、どこまで本気か、ヤケッパチの擬態か、把みかねる。
なるほど。「少し安っぽい万歳三唱的勝鬨の声と威嚇的大音響」といは、さすが吉田さんらしい優れた表現です。あの曲は、特に第4楽章がそうなのですが、聴いているとちょっと気恥ずかしくなるほど安っぽく作られているのは事実でしょう。ショスタコーヴィッチはそういう曲を書かなければ、自分の命さえ危なかったわけですから、何が何でも大衆受けする曲を作る必要があったわけです。
でも私はそれで不満を感じたことはありません。ショスタコーヴィッチの交響曲は全集まで持っていますが、聴いていると辛いものが多いのです。例えば熱狂的なショスタコファンの支持を集める第4番などは最後まで聴き通すのがしんどいです。こんなことを書くと、私の音楽理解度の低さがばれてしまうのですが、音楽は聴いて楽しむためにあるわけですから、聴くのがしんどいのはいくら作曲家自身の自信作であっても聴きたくなくなってきます。ショスタコーヴィッチの第5番はそれこそ猿レベルの聴衆でも大喜びしそうな楽天的結末で終わるわけですが、それだからといって価値がないわけではなく、コンサートで聴けば演奏効果は抜群で楽しい気持ちで家に帰れます。あまり難しく考えず、単純に音楽を楽しみたいところです。
3月24日:クレンペラーのページに「クレンペラーのストラヴィンスキー」を追加しました。
3月23日:初心者用の演奏とは
このページの内容はちょっとマニア向けなのではないか?との指摘が女房さんからも、また一部の読者からもあります。例えばクレンペラーという指揮者に馴染みがない読者にとって、クレンペラーの、しかも海賊盤の解説はまさにマニア向けと受け止められてしまいます。クレンペラーのページだけではなく、CD試聴記で取り上げているCDも一般的にはあまり受けのよくないものがあったりします。このページはクラシック音楽を啓蒙することをひとつの目的として掲げていますから、マニア向けであることはすなわち啓蒙的でないとの誹りにもなります。
しかし、私は別にマニア向けにこのページを作っているわけではなく、できうる限り優れた演奏を取り上げ、それを紹介していきたいと思っています。一番困るのは啓蒙的な演奏、啓蒙的なCDというものが実は存在しないことです。世の中には優れた演奏と必ずしもそうではない演奏があるだけで、「このCDは初心者向けの分かりやすい演奏だ」などと特定のCDを推薦するのは憚られてしまいます。例えば、カラヤンの演奏は非常に分かりやすく、録音もよく、ブランドもあります。しかし、それを盲目的に初心者の方々に推薦することなどとてもできません(決してカラヤンを馬鹿にしているわけではありません。一例として挙げただけです)。
初心者向けの曲というのも実はありません。私はクラシックを聴き始めた頃、まずベートーヴェンの交響曲をいくつか聴き、その次はいきなりマーラーを聴き始めました。しかも8番とか9番とか「大地の歌」を聴いて悦に入っていました。モーツァルトの曲を知ったのはそれからしばらくしてからであり、しかもマーラーやブルックナーほどには理解できなかったことを覚えています。要は何でも興味を持ったものから聴き始めればよく、そして優れた演奏を聴くべきだということを言いたいのです。最初に下手な演奏を聴くと延髄まで演奏内容が刷り込まれて大変なことになります。そう考えておりますので、多少マニア向けと誹られようともホームページ作りのスタンスは変えないつもりです。
皆さんはいかがお考えですか?やはり初心者用の演奏というものがあるとお考えでしょうか?
3月22日:CD試聴記に「チャイコフスキーのマンフレッド交響曲」を追加しました。指揮者はシルヴェストリです。
3月20日:技術担当の妻ちふみです。ゲストブックの過去の書き込みを別ページに移しました。これでファイルサイズが小さくなりましたので、皆さん心おきなく長文の書き込みができます。みんなで楽しくゲストブックを盛り上げていきましょう。書き込みをお待ちしております。
なお、やはりWHAT'S NEW?の文章は「です・ます」体に戻すことにしました。WHAT'S NEW?が「だ・である」体だと、押しつけがましい文章になってどうも落ち着きがよくありません。朝令暮改のようで申し訳ありませんが、何卒よろしくお願い申しあげます。
3月19日:クレンペラーのページに「ワーグナーのトリスタンとイゾルデ第1幕への前奏曲」を追加。オケはウィーンフィル。
3月18日:「ワルツ・フォー・デビィ」
音楽之友社から最近出た「クラシック名盤大全 室内楽曲篇」を見て驚いた。何と、「ワルツ・フォー・デビィ」がジャケット写真入りで堂々と掲載されている(p.114)。ジャズが好きな人ならともかく、かなりのクラシックファンでもこのCDを知っている人は少ないのではないか?なぜなら、このCDはいわゆるクラシック音楽のCDではなく、純然たるジャズのCDであるからだ。ビル・エヴァンズの録音の中でも「ワルツ・フォー・デビィ」はとびきりの名盤で、ジャズの名盤案内には欠かせないものだ。しかし、こんなCDがクラシック音楽のCD案内に堂々と出ているのはちょっと違和感がある。執筆者は吉松隆氏。売れっ子の作曲家であり、また、売れっ子の音楽評論家でもある。そんな人が書いた文章であるから音楽之友社の編集部は「いくら何でも...」と拒むことができなかったのであろう。
誤解を招きそうなので断っておくが、私は「ジャズはクラシックより劣っているからクラシックの名盤案内に載せるのはけしからん」などといいたいのではない。なぜこんな異質なCDが載っているのか不思議に思うだけである。
実はこの問題は簡単ではないような気がする。ジャズとクラシックは結構似ていて、ほとんどの場合はアコースティック楽器しか使わない。ピアノトリオだと、本当に室内楽といってしまってもよいような気もする。しかし、ジャズはやはりクラシックとは一線を画している。どこが違うかというと、現在のクラシック音楽は即興的な要素がほとんどなくなっているが、ジャズは即興こそすべてである点だ。例えば「ワルツ・フォー・デビィ イ短調作品75」とかいう楽譜は存在しない。あるのはわずか数小節の主題だけである。ジャズとクラシックは似てはいるが全く違うジャンルなのである。クラシックファンで、ジャズを聴いてみたいという人はそこを理解しないと、結局ジャズの世界を理解できない(ジャズをやっているとされるプレーヤーでも理解していないような場合がある。例えばウィントン・マルサリス)。あんな文章を書いたところを見ると、吉松氏はその違いを理解していたのかどうかちょっと疑問だ。編成が小さければ室内楽としていいのなら、ハード・バップ時代のマイルス・デイヴィスだって室内楽になってしまう。それもやはりクラシック音楽の中に入れるのは違和感がある。吉松さん、売れっ子をいいことにちょっと勇み足をしてしまったのではないだろうか?皆さんのご意見を伺いたい。
3月17日:CD試聴記に「コンヴィチュニーのベートーヴェン交響曲第3番<英雄>」を追加。今回のオケはシュターツカペレ・ドレスデン。
ぞろ目賞はゲストブックにあるとおり、「東越谷通信」でお馴染みのおのさんが当選した。おのさん、そして読者の皆さん、ご愛読本当にありがとう。ところで、今回は私がヒットせずにすんで助かった。また当たってしまったらどうしようかと、昨日は心配でなかなか眠れなかったのだ。これでしばらくは枕を高くして眠れるというもの。ほっ。
3月16日:リンクに「咲良のクラシック部屋」を追加。
すごいページ。MIDIデータが何と500以上。これだけ集め、ホームページに載せるだけでも大変な労力だと思う。クラシック音楽のホームページは多いが、これだけ音楽を聴かせてくれるページは珍しいのではないだろうか?私のページなど、活字ばかりで、しかも長い文章ばかりなので女房さんにいつも怒られている。そういうレベルのホームページ作者からすると、「咲良のクラシック部屋」は夢のようなページだと思う。私もなんとかせねば。
ところで、例のぞろ目賞が、いよいよ迫ってきた。栄えある10000件を自分でヒットしてしまった悪夢から約10日。今度はどなたか読者の方に当てていただきたいと願っている。何時になるか分からないが、多分深夜には11111件になるだろう。当たった方はぜひ名乗りを上げて下さい。ただし、ズルはだめよ。
(An die MusikクラシックCD試聴記)