ミレニアム企画
アバド・ケンペのベートーヴェン交響曲全集を聴く
■ アバド盤
ベートーヴェン
交響曲全集
アバド指揮ベルリンフィル
録音:1999年12月〜2000年5月
DG(輸入盤 469 000-2)■ ケンペ盤
ベートーヴェン
交響曲全集
ケンペ指揮ミュンヘンフィル
録音:1971〜73年
DISKY(輸入盤 DB 707082)■ はじめに
先頃、相次いでベートーヴェンの交響曲全集が発売された。ひとつはアバド指揮ベルリンフィルによるデジタル最新録音。アバドにとっては、ウィーンフィルとの録音に次ぐ2度目の全集である。ウィーンフィルとベルリンフィルを両方使って全集を録音したのはアバドしか思いつかない。蓋し快挙である。
もうひとつの録音は、往年の名匠ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘンフィルによる録音である。こちらはアナログ時代の1971〜73年にEMIに録音されたもの。EMIはかつてセラフィム・シリーズで発売していたものの、現在は生産を中止している。今回はDISKYからの再発である。どこから発売されるにせよ、名演奏が容易に入手できるようになったのは嬉しい。アバドの5枚組新全集も輸入盤で7,000円程度と、メジャー・レーベルからの新譜としては格安だったが、ケンペ盤は輸入盤で3,100円程度(やはり6枚組)と単価デフレの象徴のような安さだった。
いずれもユニークなベートーヴェンだ。私はアバド盤を先に聴いていたが、その後にケンペ盤を聴いてその違いに驚嘆している。どちらがよい、というのではなく、全く違う方向を向いている演奏なのである。オケの性質も違う。演奏を比較しながら聴いていると、余りにも面白いので、今回は思い切ってミレニアム企画と号し、「アバド・ケンペのベートーヴェン交響曲全集を聴く」などという大それたタイトルのシリーズを開始することにした。
このシリーズはできるだけゆっくり進めたい。ベートーヴェンの交響曲といえども、時間的には簡単に聞き流せる。ブルックナーやマーラーの長大な交響曲を聴き慣れると、トータルで6時間程度にしかならないベートーヴェンの交響曲などあっという間だ。しかし、そういう聴き方を私はしたくない。ベートーヴェンは真剣に聴くべきだ。「ながら聴き」をしてベートーヴェンの音楽を理解できるとは私は考えられないからである。。ベートーヴェンの交響曲は、短い曲であっても内容が充実し、迂闊にやり過ごせない。だから、聴くのがハードなのだ。じっくりと1曲ずつ丁寧に聴いていくことにする。さらに、アバド、ケンペの参考録音や、他の指揮者のベートーヴェン演奏にも言及したい。(...となると、今年中に終了するかどうか、極めて怪しい...)。読者の方々には、私の我が儘や私の勉強につき合っていただくことになるので、大変恐縮だが、年末を控え、ベートーヴェンに集中するのも悪くないと思う。というわけで、第1回はアバド指揮の交響曲第1番だ! 明日の更新を乞うご期待!
- なお、念のために書いておくと、当企画はアバドを貶すために行うのでは決してない。私は、そういう姿勢で音楽を聴くつもりはない。
■ インデックス
- アバド指揮ベルリンフィル(2000年11月21,22日)
- ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2000年11月24日)
- ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2000年11月27日)
- セル指揮クリーブランド管(2000年11月28日)
- アバド指揮ベルリンフィル(2000年12月4日)
- ケンペ指揮ミュンヘンフィル、アバド指揮ベルリンフィル(2000年12月11日)
- カラヤン指揮ベルリンフィル(2000年12月12日)
- ワルター指揮コロンビア響、カルロス・クライバー指揮バイエルン国立管(2000年12月18日)
- アバド指揮ベルリンフィル、ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2000/12/19)
- ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2001/01/08)
- アバド指揮ベルリンフィル(2001/01/09)
- ジンマン指揮チューリッヒトーンハレ管(2001/01/11)
- アバド指揮ベルリンフィル、ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2001/01/17)
- 追記(2001/01/21)
- アバド指揮ベルリンフィル(2001/01/24)
- ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2001/01/25)
- ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2001/01/29)
- アバド指揮ベルリンフィル、ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2001/01/31)
- ケンペ指揮バイエルン放送響(2001/02/01)
- クリュイタンス指揮ウィーンフィル(2001/02/02)
- ケンペ指揮ミュンヘンフィル(2001/02/08)
- 「第九」演奏の盲点(2001/02/09)
- アバド指揮ベルリンフィル(2001/02/12)
(2000年11月〜、An die MusikクラシックCD試聴記)