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99年11月

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11月30日:社会主義国は聴衆を...

ヘルベルト・ケーゲル(1920-1990)。ドレスデン生まれ。ライプツィヒ放送響の音楽総監督及びドレスデンフィルの常任指揮者。1990年東西ドイツ統合とともに謎のピストル自殺を遂げました。

このケーゲルがドレスデンについて語った文章があります。春秋社刊「名指揮者があなたに伝えたいこと」(千蔵八郎)から抜粋してご紹介いたしましょう。

ドレスデンにはシュターツカペレとフィルハーモニーの二つのオーケストラがあります。ご存じでしょうが、もちろんフィルハーモニーのほうが良いオーケストラです。何よりもこのオーケストラは弦の響きが柔らかく美しい。南ドイツ的な、ドレスデンの気質が反映されていると言えるでしょうね。

いやー、さすがケーゲル。笑わせてくれますね。ケーゲルにしてみれば、自分が長年にわたり手塩にかけて育ててきたオケですから、まかり間違ってもドレスデンフィルをシュターツカペレ・ドレスデンに劣るとは言えないでしょう。ただ、確かに、ドレスデンフィルの弦はきれいです。私もドレスデンのクルチュア・パラスト(何と、「文化宮殿」!と訳します)でこのオケを聴きましたが、最悪のホールであるにもかかわらず、弦楽器の音色がさわさわとしていて、とても心地よかった記憶があります。

もうひとつ。

ドレスデンは”音楽の都”と言われていますが、それはウソだといつも私は言ってるんです。30年にわたって、現代曲を取り上げる意義を説き、演奏し続けてきましたが、いまだにドレスデンの聴衆は集まりません。

ちょっと情けないことですが、これには同感です。ドレスデンは何十年も社会主義国家の枠組みの中にいることを強いられたため、完全に保守的な聴衆しか作り出せなかったようです。前にもここで書いたことがありますが、私がゼンパー・オパーでアルバン・ベルクの「ルル」を見たときには、気合いの入ったすごい舞台であったにもかかわらず、幕間に聴衆が群をなして帰る始末。「これが音楽都市として名高いドレスデンか?」と私はびっくりした記憶があります。

ご存知のとおり、ドレスデンはワーグナーやR.シュトラウスが前衛的なオペラを初演した町です。例えば、ワーグナーでは「さまよえるオランダ人」と「タンホイザー」が、R.シュトラウスでは「サロメ」や「エレクトラ」が初演されています。それは輝かしいオペラの歴史そのものです。今ではどの曲も古典的の仲間入りを果たしていますが、初演当時は猛烈な現代音楽だったわけです。ワーグナーやR.シュトラウスの輝かしい歴史をもつドレスデンなのに、アルバン・ベルクさえ受け入れられないのでしょうか。ちょっと寂しい気がしますね。社会主義国家では、前衛的な音楽は御法度だったらしいですが、東ドイツも例外ではなかったのでしょう。前衛的な音楽を育んだはずの町が、古典になりつつあるオペラまでも拒絶するようになったことには、時間の重みを感じざるをえません。

そういえば、最近シノーポリがTELDECで進めている新ウィーン楽派のCD録音は、そうしたドレスデンの聴衆に対する啓蒙の意味も含まれているのかもしれません。そこまで考えると、行き過ぎかな?


11月29日:「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「モーツァルトのディヴェルティメント、他」を追加しました。

昨日は子育て問題で大変もめてしまい、更新できませんでした。申し訳ありません。深くお詫びいたします。


11月28日:お詫び

都合により、本日は「What's New?」も休みにさせていただきます。月曜日以降、更新を再開します。アクセスして下さった方、誠に申し訳ございませんm(__)m。


11月26日:「クレンペラーのページ」に「ベートーヴェンの交響曲第9番」を追加しました。先頃発売されたTESTAMENT盤です。

これはいいですよぉ!皆さん、これを聴かずしてもうクレンペラーを語ることはできないでしょう。また、クレンペラーファンでなくても、この演奏には目を開かれる思いをするでしょう。An die Musikトップの「クレンペラーのページ」の紹介文は『「ベートーヴェンなんて聞き飽きた」という方は必ずお立ち寄り下さい。あなたも必ずクレンペラーを聴きたくなるはず。』となっていますが、そんなことを書いた私も新たな驚きを禁じ得ませんでした。週末はCDショップに走るべし。


11月25日:ドレスデンのページについて

「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」を開設以来、いろいろなCDを取り上げてきました。そのほとんどは、皆さんの馴染みの薄い録音ばかりだったと思います。特に、昨日のチャイコフスキーは、私の知る限り、国内盤さえ発売されていません。マイナー中のマイナー録音と言えます。

おそらく、あまりにマイナーな録音ばかりが出てくるので、「どうしてだろうか?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。普通ならば、カラヤンの「マイスタージンガー」や、クライバーの「魔弾の射手」、ベームの「フィデリオ」、サヴァリッシュの「シューマン交響曲全集」、ブロムシュテットの「ブルックナーの交響曲」、少しシブイところでやはりブロムシュテットの「英雄の生涯」が真っ先に取りあげられるところです。しかし、そうした録音はまだしばらく取りあげる予定はありません。ただ、別に出し惜しみしているわけではないのです。理由があるのです。

旧東独のオケには、よからぬ風説がつきまとっています。曰く、「西側との録音の際には、東独中から優れたプレーヤーを集め、体裁を取り繕った。CDで聴く演奏は現物とは別物である」というものです。その真偽のほどは、私のレベルでは確かめようもありません。ただ、私の考えを述べてみますと、以下のとおりです。

まず、仮にそうだったとしても、オールスターメンバーによるメジャー録音以外は取るに足らないかといえば、そんなことはあり得ません。超マイナーな録音でも優れたものが沢山あります。

次に、西側メジャー・レーベルとのメジャーな録音ならともかく、東独内で企画され、録音されたマイナーな録音のすべてにおいて、旧東独オールスターメンバーが出演したとはとても考えられないのではないかと私は思います。常識的に考えて、いつも一緒に演奏しているメンバーが集まって、ちょこちょこ録音活動を行っていた、とする方が普通でしょう。オールスターメンバーで録音されたCDが1枚もないとは私も言い切れませんが、高が知れていると私は思うのです。その証拠に、マイナーな録音にも、当団の良さが如実に現れているではありませんか。

当団の良さはメジャー録音にも現れています。したがって、それをどんどん取り上げていっても構わないのですが、それが良いと評価されても、オールスタープレーヤーによる演奏だからだという批判がされるのは嫌です。また、それによって、いい味を出しているマイナー録音がますます日陰者にされてしまいます。それは何とも我慢がならないのです。

オールスター問題あるいは風説はあまり目くじらを立てなくとも、丁寧にいろいろな録音を聴いていくことで払拭できるかもしれません。したがって、私はしばらくはマイナーな録音を取りあげ、そのすばらしさを読者にもご理解いただきたいと思います。それができれば、妙な風説も自然に消えていくことでしょう。

読者の皆様には、地味な録音が続くことでご興味を失う方もおられるのではないかと思いますが、何卒ご理解下さいm(__)m。


11月24日:「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「謎の指揮者 ジークフリート・クルツを聴く」を追加しました。少し長いです。


11月23日:女房さん奮闘記

みずなちゃんが生まれて100日が過ぎました。生まれたときの体重は3,016グラムでしたが、今や6,000グラムを超え、ずっしりと重くなってきました。母乳しか飲んでいないのにどんどん大きくなるのは驚きです。

体が大きくなるにともない、みずなちゃんも体力がついてきたようです。泣いている時間が長くなってきました。ちょっと前までは大泣きしても、すぐに疲れてすやすや寝込んでくれたのですが、大泣きがいつまでも続いた挙げ句、寝てくれない、しかも、機嫌は良くない、という状態が当たり前になってきました。このような状態では、赤ちゃんを抱っこし続けなくてはなりません。しかし、6Kgの子供となると、男の私でも重たくなってきました。私はテニスとスキーで鍛えた黒光りする!肉体がありますから、体力がある方だと思っていますが、土日に赤ちゃんを抱っこしただけでヘロヘロになってしまいます。それを女房さんは平日ずっとやっているのですから、大変なことです。女房さん、最近ではすっかり筋肉痛になってしまったとか。無理もありません。毎日6Kgの鉄アレイを持たされているのと一緒ですから、もともと細身の女房さんではたまったものではないでしょう。

子育ては思った以上に大変そうです。このところ、子育てに疲れ、女房さんの体重は最低記録を更新し続けています。このままでは紙のようになってしまうのではないかと少し心配です。「これはいかん!」と思って、このところは太りそうな食事ばかりを食べてもらうようにしていますが、どういうわけか私だけが太ってきました(^^ゞ。

しかし、赤ちゃんはかわいいものです。ほっぺたをつんと押すとにっこり笑うのですが、私の子供とは思えないほどかわいい顔になります。毎朝私は赤ちゃんと戯れてから会社に行くのですが、あんまりかわいいのでついつい時間が経つのも忘れてしまい、毎日遅刻しそうになります。駅にダッシュするのが日課になってきました。できれば、会社に連れていきたいところです。本当に悩みます。私が家に帰ってくるときには、幸いなことに、赤ちゃんは寝ていることが多いようです。それゆえ、ある程度はCDを聴いたり、話をしたりできるのですが、私がいない間は女房さん、大変な重労働のようですね。へとへとになっている女房さんを見ると、声援を送ってやりたくなります。がんばれ、女房さん。


11月22日:似た言葉

先週、女房さんに向かって偉そうにヤナーチェク作曲「タラス・ブーリバ」の講釈をしていたところ(^^ゞ、女房さん、私にこんなことを言いました。

「タラス・ブーリバ」と「タブラ・ラサ」って似てるよね。

ををををを!これはすごい。確かに似てますね!私でも間違えそうです。でも、不思議なのは、「タブラ・ラサ」などという現代音楽の名前を女房さんが知っていたことであります。いつの間にそんな音楽のことを勉強したのでしょうか。驚いて事情を聞いてみました。すると、女房さんの知っている「タブラ・ラサ」は音楽の名前ではなく、哲学用語なのだとか。聞けば、哲学用語では「タブラ・ラサ」は「白紙」を意味する重要なキーワードだそうです。ヘー。これは知りませんでした。女房さん、いつもこのページで馬鹿にされていたのに、今回は大ヒットですね!さすがです。

ところで、音楽の「タブラ・ラサ」です。5〜6年前だったか、密かなブームがあったと記憶しています。作曲したのはエストニアの作曲家アーヴォ・ペルト。新興宗教の教祖を思わせる、ただならぬ風貌の持ち主です。20世紀の作曲家ではありますが、特に前衛的な音楽を作っていたわけではありません。言葉が悪いと思いますが、それこそ環境音楽に近いといえば近いものもあるかもしれません。ただ、大変独特の雰囲気の曲ばかりなので、好き嫌いがはっきり分かれるでしょう。ご存知の方も多いでしょうが、ペルトの音楽にはギドン・クレーメル、キース・ジャレット、シュニトケら錚々たる奇才たちが参加した有名なCDがあります。

CDジャケットアーヴォ・ペルトの音楽
フラトレス
ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌
フラトレス(チェロ・バージョン)
タブラ・ラサ
録音:1977〜84年
ECM(国内盤 POCC-1511)

このCDは買ってから1度しか聴いていませんでした。ブームに乗って買ってはみたものの、当時は訳が分からなかったからです。しかし、今回、女房さんの話をきっかけにして聴いてみたところ、とてもいいではありませんか。これは騒々しい現代社会に対するアンチ・テーゼを示した音楽ですね。静寂が支配する美しい音楽です。音楽というより、自然界の声を聴いているような、妙な気持ちにさせられます。こんな音楽をほったらかしにして置いたとは私も迂闊でありました。

ただ、名曲ではありますが、じっと聴いていると恐くなる時もあります。私は周りの雑音が適度に聞こえる部屋の中でペルトの音楽を聴いていますが、山の中とか、都会でも深夜物音ひとつしない時間帯とかにこれを聴いたら、恐くて恐くていたたまれないのではないでしょうか。全く静かな音楽なのに、すごい迫力です。音量とは別のところに、音楽のダイナミズムがあるのかもしれません。すごい音楽だと思います。


11月21日:「レコーディング指揮者と”実力ある”指揮者」

レコ芸12月号に岡本稔さんによる「レコーディング指揮者と”実力ある”指揮者」という文章がありました。結構気になる文章です。岡本さんはこの中でこんなことを書いておられるからです。

レコードは見事だったのに、実演になるといつもパッとしない人、逆に、レコードの活動は華やかではないが、実演では神がかりのような音楽を聴かせる人がいるのも確かであり、録音だけで評価するのは危険な場合もあると思う。

なるほど、ごもっともです。最近私は都心に出ることがほとんどできない状態ですから、コンサートからはすっかり縁遠くなってしまいました。勢い、CDを中心に音楽鑑賞をしています。そのため、録音で演奏家を判断することの危険性を訴えた岡本さんの言葉には耳が痛くなります。

実演ですばらしい人のひとりに、岡本さんはホルスト・シュタインを挙げておられますが、同感です。異様な風貌がスター性を奪ってしまったせいか、このところ写真すら見かけなくなりました。が、大変な実力の持ち主でしょう。CDに恵まれないところなど、本当に気の毒です。昨年発売されたブラームス交響曲全集は数少ない例外といえるのではないでしょうか。

ところで、「レコードでは見事だったのに、実演になるといつもパッとしない人」というのは、どの人のことを指しているんでしょうか。岡本さんはあえて名前を挙げておられませんが、気になりますね。私も過去の経験から、ある程度は名前を2,3並べることはできますが、いかんせん、最近の事情に暗くなってしまいました(T_T)。岡本さんが頭に描いたのが誰だったのか、気になって気になって仕方がない私です。

それはともかく、皆さんはどんな人が隠れた実力者だと思われますか?一度ご意見をうかがってみたいところです。


11月20日:リンクのページにFujiiさんの「音楽との対話 クラシックCD評」を追加しました。

このページはとてもシンプルな作りですが、内容はこれからどんどん充実していきそうです。外国に住んでおられながら、日本語でクラシックのホームページを立ち上げたというのは他に聞いたことがありませんね。日本語情報があまりないからこそ独自の聴き方ができると思います。更新頑張って下さいね。


11月19日:「クーベリックのページ」に「ヤナーチェクの<シンフォニエッタ>と<タラス・ブーリバ>」を追加しました。


11月18日:火の鳥

今週はクレンペラーの指揮によるストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」で始まり、昨日「春の祭典」ときました。次は「火の鳥」でしょうか?私もそうしたいと思っていたのですが、今回は小話でお茶を濁すことにしましょう(^^ゞ。

「火の鳥」は世紀の名作だと私は思っていますが、子供の頃(高校生の頃)はその真価を皆目理解できませんでした。なんだか盛り上がりに欠けるわりには、ダラダラと40分も演奏が続くのも我慢できませんでした。そんな曲なのに、クラシック音楽の世界では名曲といわれていることに疑問を感じていたものです。あの精緻極まりない微妙な色彩感は、他の音楽とは異質ですから、力で押しまくるような演奏ばかり聴いていた子供の私では理解できないのも当然だったかもしれません。

録音ベースでこの曲のすばらしさを私に教えたのはブーレーズの旧盤でした。これを上回る演奏はCDではまだ出会っていません。実演では、昔アムステルダムで聴いたコンセルトヘボウ管が忘れられません。指揮者はシャルル・デュトワでした。ご存知のとおり、コンセルトヘボウ管は大変な名人オケであります。あの曲を演奏するのは訳もない腕前のプレーヤーばかりです。そのオケにフランスものやロシアものを得意にしているデュトワが客演しているのですから、超名演になるのは自明のことであります。ホールのすばらしい響きの中で、きらきら輝くような音楽を聴いた私は、本当に夢を見ているようで、ワクワクドキドキしました。オケによって表現される目映いばかりの輝きを前に私は感激でした。もちろん、会場を埋め尽くした聴衆も同じ状況だったらしく、オケも指揮者も、大変な拍手喝采を受けていました。私はこれほどの演奏だし、いい組み合わせだから、きっとCD化されるに違いない!と思って待っていたのですが、この演奏がCD化されたという話は聞いたことがありません(T_T)。発売されたらすぐ買いに走りたいところですが...。

ところで、そのコンサートには女房さんも一緒でした。私を含め、感激しまくっていた聴衆の中で、女房さんだけはすっかり退屈していたそうです(>_<)。ただし、女房さんはその時初めて「火の鳥」を聴いたそうです。やはりあの曲はある程度知っていなければ楽しめない音楽なのでしょうか。自分が子供の頃の無理解を思い出すと、女房さんを馬鹿にするわけにもいきません。なかなか難しい音楽なのかもしれませんね。


11月17日:「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「スウィトナー指揮<春の祭典>」を追加しました。あまり知られていないCDだと思いますが、見つけたら必ず買って下さい!

この文章を作成するにあたり、スシ桃さんの多大なご協力をいただきました。お師匠様、ありがとうございますm(__)m。


11月16日:ペトルーシュカ

昨日「クレンペラーのページ」で傍若無人というべきか、あるいは泰然自若というべきか、全く独自の演奏スタイルをもつペトルーシュカを取り上げました。ところが、私はクレンペラーの演奏を聴いているうちに、中毒状態になり、普通の演奏とはどんなものだったか分からなくなってしまいました(^^ゞ。そのため、更新前には私もいろいろな録音を聴き比べてみました。けっこうつまらない「名盤」が多かったのは意外でしたが、久しぶりに聴いて「これはすごい」と思ったCDもありました。これはダントツの面白さです。比肩しうるのはもはやクレンペラー盤のみでしょう。それはロリン・マゼール指揮イスラエルフィルによる演奏です。

CDジャケットストラヴィンスキー
バレエ音楽「春の祭典」
マゼール指揮ウィーンフィル
録音:1974年
バレエ音楽「ペトルーシュカ」
マゼール指揮イスラエルフィル
録音:1961年頃
DECCA(国内盤 KICC 8609)

このCDは何度も形を変えて発売されているので、お持ちの方も多いでしょう。誰がどう見ても、メインは「春の祭典」でしょう。これはウィーンフィルが初めて「春の祭典」を録音した話題盤でした。私が最初に接した「春の祭典」もこの録音(当時はLP)でした。

長じてからこの「春の祭典」をまた聴いてみたくなり、再発されたCDを聴いてみましたが、どうもよろしくありません。他に優れた演奏をたくさん聴いていますので、ちょっと物足りなくなってきた気もします。そのため、カップリングされている「ペトルーシュカ」もほとんど聴かないままだったのですが、これはすごい演奏です。録音当時わずか31才の奇才ロリン・マゼールの才気がほとばしる強烈な演奏です。音楽がヒリヒリピリピリしていて、オケの音色も突き刺すような鋭さがあります。イスラエルフィルも非常にうまく聞こえます。こんな面白い演奏なのに、余白埋めだと思って適当に聴いていた私は赤面であります。

CDには若きロリン・マゼールの写真が載っていますが、今とは全然違っていますね。何といってもほっそりしているし、「切れ者」という感じがします。最近のマゼールはギラギラしていて、別人のようです。昔のように鋭利な演奏を続けていれば、世界中にエキセントリックな熱狂的ファンを獲得していたでしょう。残念なことです。あれ?マゼールの演奏は普通ではないかな?


11月15日:「クレンペラーのストラヴィンスキー」に話題騒然「ペトルーシュカ」を追加しました。


11月14日:ハイテクページ

先週、HMVが「世界最大のオンラインCDストア、OPEN!」と目立つ広告を新聞に出していました。「こりゃ早く見ねば!」と思い、私も早速アクセスしてみました。

ところが、驚いたことに、我が家では見ることができません。このページはInternet Explorer, Netscape NavigatorそれぞれVer.4.0以上でなければ見ることができないのです。私は自宅では今なおInternet Explorer ver.3.0を使い続けておりますので、残念ながら、HMVのロゴマークが載っているトップページまでしか見ることができないのです(T_T)。

仕方がないので、会社で最速マシンを使って見てみますと、すんごいページであることが判明しました。新聞などで大きく広告を打つだけのことがありますね。情報量も多く、大変なものです。

しかし、私個人は、視力が弱いので、あんなにチカチカして見にくいページの作り方には反対です。最近のWeb界ではあのくらいのものを作らないと「すごい!」と思われないからか、ホームページの担当者は美麗さを目指してHTMLでできることをガンガンやってしまいます。

でも、どうなのでしょうか?インターネットを利用する人は美麗なきらきら光るようなページを見たいからアクセスするのでしょうか?私はそう思いません。必要な情報が欲しいからアクセスするのだと思います。最新のHTMLを使えば、できることはたくさんあります。しかし、かえって見にくくなるようなページには賛成できません。

私が好きなオンラインショップには「Berkshire Record Outlet」があります。これは決して最新技術を使ったものではなく、むしろ、テキストばかりの質素な画面です。それでも必要な情報がほとんど盛り込まれ、検索結果も大変見やすくできています。そのためついつい立ち寄ってはCDを買ってしまうのです(^^ゞ。ハイテクならぬローテクでもできることがたくさんあります。むやみに最新技術に走るのはやめようと思う今日この頃でした。

しかし、サーバーが不調だと、最初からつながらないということもありますね。これはどうすればいいのか、私にはもう分かりません。


11月12日:「ときめきウィークエンド」を久しぶりに更新。「バーンスタインのミュージカル<ウェスト・サイド・ストーリー>」を追加しました。

先週の金曜日からサーバーの不調が続いています。本日の午後は”An die Musik”にアクセスできなかった人が多かったのでは?解決の糸口は見つかっているのでしょうか。不安であります。


11月11日:「クーベリックのページ」に「ヴェルディの歌劇<リゴレット>」を追加しました。なお、明日別のページで「続編」があります。乞うご期待。


11月10日:「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に特別エッセイ?「ドレスデン資料集め」を追加しました。


11月9日:「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「ケンペのワルツを聴く(続編)」を追加しました。

先週金曜日からBIGLOBEサーバーの不調が続いています。最初はページそのものにアクセスできない、というものでしたが、土曜日からはアクセスできてもカウンターが加算されないという事態になっています。カウンターが加算されなくても私のページは読めますから、障害と呼べないかもしれませんが、少しがっくしです。BIGLOBEさん、私のやりがいを奪わないで下さいな。


11月8日:「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「ケンペのワルツを聴く」を追加しました。


11月7日:「みずなの成長日記」に「2ヶ月のみずな」を追加しました。

今日も猛烈に長時間泣いたみずなちゃん。体は小さいのにすごい声です。口を大きく開けて、のどの奥までよーく見えるようにして泣きます。すごいですねえ。ベル・カントとはいえませんが、すばらしくよく通る声であります。さぞかし近所迷惑になったことでしょうm(__)m。でもあのまま発声練習を積んでいくとすごいことになるかも。大きくなったらオペラ歌手になれるんではないかと思いますよ。


11月6日:リンクのページにミン吉さんの「オペラ御殿」を追加しました。

作者のミン吉さんは今年の夏に「クナッパーツブッシュ・ディスコグラフィー」を出版されたオペラ博士であります。「そろそろホームページが立ち上がる頃かな?」と思っていたら案の定、堂々オープンされていました。おめでとうございます。クラシック音楽関係のホームページは私の「An die Musik」を含め、今や大量にWeb界に存在します。が、オペラ中心の本格的なページは大変希少です。こんなページを私も探していました。オペラを表面的にしか聴いていない私も、これで勉強ができるというものです。

「オペラ御殿」は、まだまだ普請中ですが、ミン吉さんが作られるからには、これからも大きな発展が期待できる有力ページになるでしょう。オペラ研究の際には避けて通れないページになることは確実であります。ご本人は「今時珍しいろーてくページ」と謙遜されていますが、「ろーてく」で結構。とても味があります。そうだ!ご祝儀に「ろーてく掲示板」にガンガン書き込んで、ミン吉さんを忙殺しちゃえ!


11月5日:「風雲児たち」外伝

また歴史の話です<m(__)m>。8月29日の「What's New?」で一度取り上げた「風雲児たち」。恥ずかしい話ですが、私はあの時点では「風雲児たち」は第29巻で完結していると思い込んでいました。しかし、ゲストブックで斉諧生さんが「第30巻外伝があるよ!」と教えて下さり、びっくり(^^ゞ。さすが斉諧生さん。モーレツ・CDリスナーである斉諧生さんに、まさか「風雲児たち」でお世話になってしまうとは!せっかくですので続編を書きます。

風雲児たち第30巻この外伝は「宝暦治水伝」と名付けられています。江戸時代のど真ん中、宝暦4年(1954年)から翌宝暦5年(1955年)にかけて薩摩藩が木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の治水工事に苦闘した秘伝が描かれています。場所は現在の岐阜県、当時の美濃であります。幕府は有力外様大名である薩摩藩を徹底的に困窮させるべく、30万両もかかる大工事を薩摩藩に押しつけるのですが、薩摩藩は必死に治水工事を完成させます。その悲劇的な模様が半分ギャグ・半分劇画で描かれているのですが、みなもと太郎さんも資料収集時には感極まって涙していたかもしれません。すばらしい外伝です。「風雲児たち」はこの外伝をもって本当に終わるらしいですが、もったいないです!作者のみなもと太郎さんにはこれ以外にもたくさん外伝を描いて欲しいものですね。

なお、江戸時代というのは私はつまらない時代だと思っていたのですが、みなもと太郎さんの「風雲児たち」を読んで、とても好きになりました。宝暦治水工事も、享保の改革の主導者であった8代将軍徳川吉宗の死と、重商主義を推進しようとして非業の死を遂げた田沼意次が台頭するちょうど中間地点で行われています。日本史の空白地帯と思われる時代なのに、いろいろなことが起きていたんですね。日本史の年表を詳しく見ておりますと、その頃の日本ではあちらこちらで様々な軋轢が生じているようです。具体的に調べると、きっとすごく激しい時代だったのではないかと思うときもあります。ううう、もっと歴史を調べたいな。


11月4日:クレンペラーのページに「ブルックナーの交響曲第9番」を追加しました。


11月3日:アルバン・ベルク弦楽四重奏団の録音

昨日のCD試聴記では、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の録音を取り上げました。少し話題がそれてしまいますので、昨日はあえて書かなかったことがあります。それはEMIによる録音についてです。

アルバン・ベルク弦楽四重奏団のCD、例えば最初のベートーヴェン全集を聴くと、音質は少しドライで、極端に言えばギスギスしていますし、潤いに欠けると感じる時もあります。再生装置にも左右されると思いますので、必ずしもそうは受け取らない方も多いかとは思いますが、少なくとも私はそう感じています。あの録音がかえってマシーンのようにガンガン弾きまくるアルバン・ベルク弦楽四重奏団のイメージを作り上げたような気もします。ただ、私は「CDの音は生とは違うし、しかもEMIだからしょうがないかな」と思っていました。

ところが、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の実演に接してみてびっくり。CDそのままの音色だったのです。私は今までに3回アルバン・ベルク弦楽四重奏団のライブを聴いておりますが、その度にその認識を新たにしています(もしかすると私だけかも。皆様のご意見をお窺いしたいです)。私はEMIの録音技術はあまり褒められたものではないとかねがね思っていますが、アルバンベルクの録音に関しては、驚くべきことに、「かなり生の音に近い」と感じています。

さて、CDの音とほぼ同じ音がライブで聴けるというのは、どのように考えたらよいのでしょうか? EMIの録音技術は私が評価していた以上に優れているのかもしれません。あるいは、録音技術はそこそこですが、室内楽は編成が小さいので、マイクの設定がしやすく、生の音を捉えやすいということも考えられます。しかし、もうひとつあるかもしれません。それはかつてフルトヴェングラーがいみじくも予言したように、「レコード向けの演奏がコンサート・ホールを浸食している」のかもしれないということです。フルトヴェングラーの言葉は有名ですからご存知の方も多いでしょうが、CDと同じ音をコンサートに求めるという本末転倒現象が現代には起きています。ひょっとすると、超売れっ子団体であるアルバン・ベルク弦楽四重奏団も、その現象に乗っているのかもしれません。まさかとは思いますが、どうなのでしょうか?ちょっと空恐ろしくなることであります。


11月2日:CD試聴記に「ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番・第2番」を追加しました。演奏はアルバン・ベルク弦楽四重奏団です。


11月1日:「An die Musik」開設1周年。

早いものでホームページを開設して1年が経ちました。アクセスカウンターは昨日で何と46,000件を超えました。この数字を見ると、我ながらいろいろと感慨に耽ってしまいます。1年前、恐る恐るWeb界に足を踏み入れたのですが、本当に不安でした。よく1年を持ちこたえることができたと思います。「What's New?」の古いアーカイブを読んでおりますと、私も随分悪戦苦闘をしていたようです。ここまで辿り着けましたのも読者の皆様のご声援のお陰です。音楽に関してはど素人の私は、皆様の暖かい励ましがなければとっくの昔に挫折していたでしょう。本当にありがとうございました。これからも楽しいCD、感動的なCDをどんどんご紹介していきたいと思います。今後ともよろしくおつき合い下さい<(_ _)>。

というわけで、本日はCD試聴記に私のマイ・ブームCDを追加しました。どうぞこちらをご覧下さい。

ところで、1周年記念企画です。「何かあるんだろう」って? どうも申し訳ございません。夫婦揃って良いアイディアが浮かびませんでした! 深くお詫び申しあげますm(__)m。この手の企画をWeb上で見ておりますと、読者に何かを書いてもらうものがほとんどです。私どももそうした企画をいろいろ考えました。が、それでは読者に負担をかけるだけになってしまいます。そのため、夫婦で相談してボツにしたのであります。そのうちに、読者が気軽にどんどん参加できる楽しい企画を考えたいと思います。気長にお待ち下さい。


(An die MusikクラシックCD試聴記)