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2003年10月
2003年10月27日:「コンセルトヘボウのシャイー」にFosterさんのレビューを追加しました。「マンフレッド交響曲」、「ブルクナーの交響曲第5番」「モソロフ」「マーラーの『子供の不思議な角笛』」です。Fosterさん、原稿をいただいてからしばらく経つのにさぼっておりましてごめんなさい。
2003年10月26日:シカゴ響 その3
今日もまたシカゴ響詣でをしてきました。今日の席は東京文化会館の5階、L-1-1。第1バイオリンや、その背後に位置するコントラバスが見えない代わり、指揮者から右側、特に金管楽器群が目の前に現れるというすさまじい場所でした。
出し物はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」及びブルックナーの交響曲第7番です。
メインのブルックナーですが、強烈な演奏でした。耳をつんざくような金管楽器の咆哮が会場を支配しました。もはや大きな音というのを通り越しています。私の席はおそらく金管楽器の直接音がダイレクトに届く場所であったためでしょうが、第1楽章から「いくらなんでもこれはやりすぎでは?」と思うほどの強奏でした。第2楽章ではさすがに金管楽器群が重層的に響きあい、あたかもオルガンのごとき荘重な調べを奏でていたところが続き、これにはさすがに瞠目しました。が、第3楽章、第4楽章とも金管楽器はとどまるところを知らないフォルテの嵐でした。それだけではありません。完璧な技量で弾きこなされ、全曲はクリスタルのように磨き上げられています。ブルックナーの7番といえば、オーストリアの田舎の風景を彷彿とさせるし、やや木訥な部分もあるかと私は認識しているのですが、シカゴ響の演奏で聴くと、非常に洗練され、かつウルトラマッチョに感じられます。
バレンボイムの指揮ぶりはいたって丁寧で、音楽の流れは自然です。しかし、あれだけ強烈に金管楽器が鳴ってしまうと、聴き手が持っている曲のイメージをたちまち覆してしまいますね。シカゴ響は私が抱いていたブルックナー像とは全く違うものを聴かせてくれたわけですが、これもまたコンサートの楽しみであります。このようなスーパーオケで、ブルックナー演奏のひとつのありようを教えてもらったと言えます。
さて、シカゴ響は今後一体どうなるんでしょうか? 鳴りまくるブラスセクションが売り物のひとつになっていると思われますが、このイメージはすでに30年の長きにわたって浸透しています。今さらこの路線を変えることはないでしょう。もしかしたらもっともっとパワーを増していくのでしょうか?
2003年10月25日:シカゴ響 その2
昨日に引き続き、今晩も東京文化会館でシカゴ響を聴いてきました。出し物はワーグナーの「タンホイザー」序曲、シェーンベルクの「管弦楽のための変奏曲」、そしてチャイコフスキーの交響曲第5番であります。
私の席は昨晩と同様5階(最上階)でしたが、同じ5階でも今度は舞台に向かって右側、それも2列目の端っこでした。正確に記載すると、5階R-2-35です。ここからは舞台に向かって右手に蝟集する金管楽器群はほとんど見えません。
さて、今晩こそは「音」ではなく「音楽」を聴くつもりで出かけたのですが、どうしてもあのバカでかい音量に圧倒され、音楽に集中できなくなりますね。「タンホイザー」序曲もさることながら、チャイコフスキーはすごすぎます。第1楽章から「ああ、やっぱりこうなるのか・・・・」と想像はついたのですが、金管楽器の音量がすさまじく、ボルテージが瞬く間に上がっていきます。私の席からは金管楽器が見えないのに、猛烈な音が聞こえてきました。金管楽器の方々は舞台の左右に並んでいるのではなく、1個所にギュッと固まっているわけですから、お互いの音がよく聞こえる反面、うるさくて仕方ないのではないかと素人の私は思うのですが、どうなんでしょうね?
それにしても、金管楽器群の音量には驚かされます。津波のようだと形容すべきか、爆弾の炸裂と形容すべきなのか・・・。
そういう鳴り方を金管楽器がしているわけですから、いかにも「チャイコ!」という雰囲気になりました。イメージ的にはカラヤンがベルリンフィルと録音した1975年盤(DG)の印象にとても近いです。ブラスはカラヤン盤よりも強力だと思いました。ただし、今晩の演奏が「好きか?」と聴かれれば、「とても楽しいと思うが、好きではない」と私は答えます。クラシック音楽を聴き始めた高校生の頃は、カラヤンの75年盤を愛聴していましたし、その頃のままの私であれば今晩のシカゴ響の演奏を歓呼をもって迎えたところですが、最近の私はすっかり枯れてきました。こういう演奏の方が好ましく感じます。
・・・と、ここまで読むと私がシカゴ響を貶して終わるように受け取られるでしょうが、そうはならないのです。バレンボイムはアンコールを2曲サービスしてくれました。1曲目はシベリウスの「悲しきワルツ」。2曲目はメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」から「スケルツォ」(余談ですが、バレンボイムは曲目紹介を日本語で行いました)。で、何の脈絡もなさそうなこの2曲をチャイコフスキーの後に持ってくるところがバレンボイムの面白いところです。チャイコフスキーでターミネーター軍団よろしく金管楽器をフルスロットルで鳴らした後のアンコール曲では、いずれも金管楽器が登場しません。弦楽器と木管楽器によって音楽が奏でられます。その演奏は精緻そのもの。完璧とか、精緻という言葉はああいった演奏に対して使われるべきでしょう。演奏は非常に繊細さを併せ持つもので、チャイコフスキーの演奏を上回る見事な出来映えでした。す、すばらしい!
・・・というわけで明日もまたシカゴ響を聴きに上野に行く私であります。
2003年10月24日:シカゴ響 その1
今日は上野の東京文化会館にシカゴ響を聴きに出かけました。指揮はバレンボイム。出し物はマーラーの交響曲第9番です。管楽器奏者の体調不良のため、開演は30分遅れました。
さて、恥ずかしながら生で初めて聴くシカゴ響ですが、ただただ驚嘆と言うしかありませんね。あの大きな音とといったら・・・。私が中学生の時には既に強力な金管セクションが有名でしたが、実際に接してみるとびっくりします。私が座ったのは東京文化会館の5階、舞台に向かって左側1列30番目の席でした。若干身を左側によじって舞台を見ると、目の前にはブラス軍団が勢揃い。演奏中はこの軍団の直接音が耳に飛び込んでくるような感じでした。シカゴ響のパワフルな演奏は、曲が始まって時間が経つほど調子が上がってきます。あまりにブラスセクションがすごいので音楽に集中できません。ブラスだけをついつい聴いてしまいます。音量だけではなく、難なく吹きこなしてしまうのもびっくりです。マーラーの9番がそれほど簡単な曲には思えないのですが、軽々と曲を演奏してしまうその腕前には呆然とします。文字どおり、呆れるほどです。
木管楽器もバランス上負けません。さらに、第4楽章では弦楽器の強力な響きが! バカでかい音量だけではなく、強い緊張を持続した弱音をこのオケはやすやすと奏でることができるようです。お叱りを受けるかもしれませんが、ターミネーターが100人舞台の上にいて、マーラーを演奏しているのではないかとさえ思えます。
バレンボイムは昨年シュターツカペレ・ベルリンを率いて来日し、ブラームス・チクルスを聴かせてくれました。シュターツカペレ・ベルリンがどういうわけかまるで「鳴らない」オケだったのに対し、シカゴ響は「鳴りまくる」オケであるわけです。音量にとらわれるのはあまり意味がないとは思いますが、その極端な差に私は「指揮者が同じなのに一体何がどうするとこんなに差が出てしまうのか?」と疑問を感じざるを得ません。そんなわけで、音楽を聴いたというより、シカゴ響の恐るべき音を聴いたコンサートになってしまいました。ほぼ完璧にそしてパワフルに弾きこなされたマーラーでした。
ところで、バレンボイムは、第4楽章のクライマックスでは5階にいる私の席まではっきり聞こえるほどの声でうなり声を上げて指揮をしていました。「ううううううううををををおっ!」という声です。バレンボイム、実は特大のコブシを入れていたのかもしれません。うー、もう一度聴かせてくれぇ!
明日はシカゴ響第2夜です。音量に驚かず、音楽そのものに集中して聴いてみます。
2003年10月19日:CDプレーヤー
12年の長きにわたり使い続けたCDプレーヤーがついにCDをトレースしなくなってしまいました。ちょっと前までは長時間収録CDがかけられなかったのですが、いよいよ私がかけるCDすべてをトレースしなくなり、音飛びの連続。12年だもんなあ・・・、機能的には満足しているし、2分くらいのインターバルで音飛びが連続するのを我慢すれば(これが我慢できないのですね)、まだ使えたかもしれませんが、思い切って新しいCDプレーヤーを購入しました。4台目のCDプレヤーになったのはDENONのDCD-1650SR-Nであります。
20年前私が最初に買ったCDプレーヤーはKENWOOD製で、これは馬鹿みたいに高価であったのに4年ほどで全くCDを再生できなくなりました。私はその後DENON製のCDプレーヤーを買いました。これは使い勝手も良く、私のお気に入りだったのですが、私のドイツ赴任にともない3年ほど使った後で親戚の家に行ってしまいました。ドイツから帰ってきて購入した3台目のCDプレーヤーはソニー製です。
さて、デジタル機器の音に差異が生じるかどうか、私はちょっと疑問だったのですが、どうやらCDプレーヤーの間にも音の差はあるようです。先代のソニー製プレーヤーと比べて、DENONのプレーヤーは音がソフトに仕上がっているように感じられます。ソニーの製品では、高域がきつかったCDも、DENONのプレーヤーで聴くと、何と言うこともなく聴けます。良く言えば音のまとまりがよく、聴き疲れがしません。悪く言えば、線が細くなり、刺激がなくなったということになります。もっとも、私はマスターテープの音を基準にして聴いているわけではないですから、どちらがいいのか、私は皆目分かりません。基準がないのですからねえ・・・。「いい音」なるものがこの世にあるのかどうか怪しいと私は思っているので、あまり音に私は神経質にはならないようにしています。音楽を音飛びなどのトラブルなく聴ければ満足すべきかもしれません。
2003年10月16日:「コンセルトヘボウ管のページ」の「「コンセルトヘボウのシャイー」CD目録」に「ロッシーニ:スターバト・マーテル」「エッシャー作品集」「21世紀への音楽 追記」を追加しました。
2003年10月10日:岩崎さんの「アメリカ東海岸音楽便り」に「ハイティンク指揮ボストン響のベートーヴェンを聴く」を追加しました。
今日の夕方試験があったので、勉強のためにここしばらく更新をさぼってしまいました。岩崎さん、更新が遅れて申し訳ありませんでしたm(__)m。なお、試験は無事受かりました!
2003年10月5日:岩崎さんの「アメリカ東海岸音楽便り」に「マゼールさんのマーラー交響曲第5番を聴く」を追加しました。
このところ秋晴れのすばらしい天気が続いていますね。今日は絶好のテニス日和でした。自分の体調もよかったので気持ちよくプレーできました。ずっとこんな天気が続くと嬉しいのですが、明日は雨の予報ですね。・・・週明けとともに現実に連れ戻されるようで悲しいっす!
2003年10月4日:青木さんの「コンセルトヘボウ管のページ」に「指揮者ベイヌム DECCA篇」を追加しました。
うーむ。ますます充実してきましたね。「コンセルトヘボウ管のページ」は一体何万文字分の情報量があるのでしょうか? 母体は私のページながら、圧倒的な情報量に驚かされます。こうなったら英文ページを作るしかないですね。
2003年10月2日: 「クーベリックのページ」に「マーラーを聴く 第1回 ■交響曲第7番■」を追加しました。
マーラーの原稿は、私が松本さんにお願いしたものです。が、こんなすごい原稿が出てくるとは・・・。松本さん、ありがとうございました。
(An die MusikクラシックCD試聴記)