クーベリックのページ

Rafael Kubelik,1914-1996

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■ 更新状況

 

60.

バイエルン放送交響楽団が残した2つのブルックナー交響曲第9番(文:松本武巳さん 2024年10月14日掲載)

59.

クーベリックの知られざる名演「ドヴォルザーク交響詩集」を聴く(文:松本武巳さん 2023年12月13日掲載)

58.

クーベリックの指揮でフェルステル「交響曲第4番《復活祭前夜》」を聴く(文:松本武巳さん 2023年9月17日掲載)

57.

クーベリック指揮の「マーラーを聴く 第10回 交響曲第6番」(文:松本武巳さん 2023年9月14日掲載)

56.

クーベリックと初演ライヴ盤で、オルフの歌劇『オイディプス王』を聴き比べる(文:松本武巳さん 2023年9月10日掲載)

55.

クーベリック指揮の「マーラーを聴く 第9回 交響曲第9番」(文:松本武巳さん 2023年7月25日掲載)

54.

クーベリック指揮の「マーラーを聴く 第8回 《大地の歌》」(文:松本武巳さん 2022年12月1日掲載)

53.

チェレプニン「ピアノ協奏曲第2番、第5番」の若干の聴き比べ(文:松本武巳さん 2021年4月14日掲載)

52.

2枚のステンハンマル「交響曲第2番&セレナード」のディスクを聴く(文:松本武巳さん 2020年11月8日掲載)

51.

クーベリック指揮の「マーラーを聴く 第7回 交響曲第5番」(文:松本武巳さん 2020年10月22日掲載)

50.

クーベリックとヴンダーリヒが共演した「マカベウスのユダ(ヘンデル)」を聴く(文:松本武巳さん 2020年10月11日掲載)

49.

クーベリックとホロヴィッツによる、ムソルグスキー原曲「展覧会の絵」(文:松本武巳さん 2019年8月5日掲載)

48.

クーベリックのワーグナー「パルジファル」(全曲)を聴く(文:松本武巳さん 2018年12月28日掲載)

47.

クーベリック指揮でウェーバーの歌劇「オベロン」を聴く(文:松本武巳さん 2018年11月30日掲載)

46.

リストの交響詩をクーベリック、カラヤン、フリッチャイ等で聴く(文:松本武巳さん 2018年1月8日掲載)

45.

クーベリックで「ヘンデルの《水上の音楽》と《王宮の花火の音楽》」を聴く(文:松本武巳さん 2017年12月6日掲載)

44.

クーベリックの「幻想交響曲」を聴く(文:松本武巳さん 2017年1月4日掲載)

43.

マーラーを聴く 第6回 交響曲第3番」(文:松本武巳さん 2014年1月28日掲載)

42.

クーベリック指揮のヤナーチェク「タラス・ブーリバ」全音源試聴記」(文:松本武巳さん 2014年1月22日掲載)

41.

クーベリック指揮のヤナーチェク「シンフォニエッタ」全音源試聴記」(文:松本武巳さん 2014年1月22日掲載)

40.

シューベルト晩年のミサ曲を、クーベリックの名盤とカペレの最新盤で聴き比べる」(文:松本武巳さん 2010年3月3日掲載)

39.

クーベリックを中心に「ドヴォルザーク交響曲第3番」をまとめて聴く」(文:松本武巳さん 2009年10月13日掲載)

38.

クーベリック他で、ヨーゼフ・ハイドンの「聖チェチーリア・ミサ」を聴く」(文:松本武巳さん 2009年10月6日掲載)

37.

カラヤンとクーベリックを、ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」で聴き比べる」((文:松本武巳さん 2009年8月3日掲載)

36.

マルティヌー作曲《ピエロ・デラ・フランチェスカのフレスコ》を聴く」(文:松本武巳さん 2009年5月19日掲載)

35.

ヤナーチェク「狂詩曲《タラス・ブーリバ》」を聴く」(文:松本武巳さん 2009年5月17日掲載)

34.

古いチェコの音楽を聴く(文:松本武巳さん 2009年5月11日掲載)

33.

マーラーを聴く 第5回 交響曲第2番「復活」(文:松本武巳さん 2007年7月28日掲載)

32.

クーベリックの新世界交響曲から想うこと(文:松本武巳さん 2007年6月27日掲載)

31.

クーベリック最期の演奏会(東京ライヴ)を聴く スメタナ:交響詩「わが祖国」(文:松本武巳さん 2005年4月15日掲載)

30.

ヤナーチェク「グラゴル・ミサ」とベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」を聴く(文:松本武巳さん 2004年11月26日掲載)

29.

マーラーを聴く 第4回 交響曲第1番(文:松本武巳さん 2004年8月1日掲載)

28.

スメタナの「交響詩集」聴き比べ(文:松本武巳さん 2004年6月10日掲載)

27.

モーツァルト後期6大交響曲集を聴く−前編(全体の印象)(文:松本武巳さん 2004年1月9日掲載)

26.

ウィーンフィルの「わが祖国」聴き比べ(文:松本武巳さん 2004年1月7日掲載)

25.

マーラーを聴く 第3回 交響曲第8番(文:松本武巳さん 2003年11月20日掲載)

24.

マーラーを聴く 第2回 さすらう若人の歌(文:松本武巳さん 2003年11月17日掲載)

23.

マーラーを聴く 第1回 交響曲第7番(文:松本武巳さん 2003年10月2日掲載)

22.

ドヴォルザーク「弦楽セレナード」聴き比べ(文:松本武巳さん 2003年9月14日掲載)

21.

オルフェオの「シンフォニエッタ」と「ドヴォルザークの第6」(文:松本武巳さん 2003年8月21日掲載)

20.

ブルックナー「ロマンティック」を聴く(文:松本武巳さん 2003年8月19日掲載)

19.

意外な名演ニールセン交響曲第5番(文:松本武巳さん 2003年8月15日掲載)

18.

旧盤ウィーン・フィルとのブラームスの第4交響曲(文:松本武巳さん 2003年8月10日掲載)

17.

ヤナーチェク「消えた男の日記」におけるピアノの達人クーベリック(文:松本武巳さん 2003年8月10日掲載)

16.

クーベリック親子の共演(19歳と20歳のラファエルの録音)(文:松本武巳さん 2003年8月7日掲載)

15.

シューマン交響曲第3番「ライン」聴き比べ(文:松本武巳さん 2003年7月29日掲載)

14.

クーベリックは本当にライヴの人か?(文:松本武巳さん 2003年7月25日掲載)

13.

ベートーヴェン交響曲第7番正規盤比較(文:松本武巳さん 2003年7月23日掲載)

12.

私とクーベリックの出会いとその後(文:松本武巳さん 2003年7月22日掲載)

11.

クーベリック指揮の「わが祖国」を聴く(文:松本武巳さん 2003年1月9日掲載)「あなたもCD試聴記を書いてみませんか」から転載しました。

10.

マーラーの交響曲第2番(2000/12/25)

9.

スメタナの「わが祖国」聴き比べ(2000/2/24,3/1,3/13,4/12,5/9)

8.

マーラーの交響曲第5番(99/12/02&06)

7.

ヤナーチェクの「シンフォニエッタ&タラス・ブーリバ」(99/11/19)

6.

ヴェルディの歌劇「リゴレット」(99/11/11)

5.

メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」&ウェーバー「オベロン」、「魔弾の射手」序曲(99/10/18)

4.

ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」(99/05/26)

3.

モーツァルトの交響曲第40番、第41番「ジュピター」(99/04/07)

2.

ブラームスのピアノ協奏曲第1番(99/04/06)

1.

ベルリオーズの幻想交響曲(99/04/04)

 

■ クーベリックと私(文:伊東)

 

クーベリック クーベリックは夥しい録音をドイツ・グラモフォンやCBS、EMI、オルフェオなどに残した。そのため、知名度は高い。しかし、その割りには地味な存在であった。いわゆるスターではなかったために、どのレーベルも看板扱いしなかったせいである。昔から読んでいた音楽雑誌でも扱いは地味であった。肝心のLP、CDもあまり売れなかったようだ。例えば、マーラーの交響曲全集はこの指揮者が先鞭を付けたもので、どれも充実したすばらしい出来であったにもかかわらず、私が高校生の頃は売れないLPの代名詞であった。どのレコード屋に行ってもクーベリックのマーラーが売れ残っていた。

 実は私が最初に聴いたマーラーの交響曲はクーベリック指揮の第8番「千人の交響曲」であった。情けないことに当時ステレオ装置が我が家になかった。音楽を聴くなどという趣味を持っていたのは家族の中で私だけであったので、いくら頼んでも買ってもらえなかったのである。それでも音楽は聴きたい。特にマーラーというものをどうしても聴いてみたかった。しかたなくすぐに手に入るクーベリックの2枚組LPを買って、友人の家に押し掛けた。彼にしてみればたまったものではなかったろうが、今ではフォルカーの部屋のオーナーとしてすっかり有名人になってしまった彼は快く大音量で「千人の交響曲」を聴かせてくれたのである。私の感激は言うまでもない。私が高校1年、15歳の時の話である。

 その後、マーラーは随分聴いた。第8番もいろいろ聴いた。優れた演奏はどんどん出てきた。しかし、第8交響曲に関する限りクーベリック盤は今もって優れた演奏であると信じて疑わない。CD化されたときにはすぐに買った。そしてそれはテンシュテット盤を耳にするまで私の最高の名演奏であり続けた。

 モーツァルトに開眼させてくれたのもクーベリックであった。CBS(現SONY)から出たモーツァルトの後期交響曲集は目から鱗の格調高さであった。他にも優れた演奏は多かった。ベートーヴェン、ドヴォルザーク、スメタナ、枚挙にいとまがない。どの作曲家の曲でも最高の演奏が聴けた。クーベリックの演奏を聴いて私はクラシック音楽の良さを理解してきたのである。

 クーベリックは90年以降、急速に日本でも再評価されるようになった。オルフェオから大量にライブ録音が発売されるようになったからである。今まで落ち着いたスタジオ録音を聴き続けてきた音楽ファンにとって熱く燃え上がるクーベリックのライブはまさに驚きであったのだ。

 しかし私は言いたい。「ライブの人」とかいう表現は止めてもらいたいと。クーベリックのライブはすばらしい。どれもハズレがない。でも指揮者がライブの人であるのは当たり前で、そうでない方がおかしい。そんな当たり前のことを今更になって言い出すのはどうかと思う。クーベリックは数多くのスタジオ録音でさえ非常にすばらしい演奏を残してきた。スタジオでいい演奏を残せたクーベリックがライブで気の抜けたような演奏をするわけがないではないか。

 クーベリックは私のクラシック音楽鑑賞歴と切っても切り離せない。長らくすばらしい良質な音楽を聴かせてくれたクーベリックに感謝する思いを込めてこのページを作っていきたいと思う。ライブ録音の良さばかりが喧伝されている今日この頃であるが、スタジオ録音も聴き直してみたい。長い工事になることは分かっている。が、その長さを自分でも楽しんでみたいと思っている。

 

An die MusikクラシックCD試聴記