中古レコード店 Cry for the Moon!

1か月ほど前、新小岩に中古レコード店ができた。名前を「Cry for the Moon!」という(FACEBOOKはこちら)。扱うジャンルはクラシック音楽で、LPとSPを扱う。店長をしているのはクラシック音楽マニアであり、オーディオ・マニアでもある矢向淳一さんだ。開店以来、リストを7回公開している。昨日公開したリストで1,300枚ほどを掲載したことになる。

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何故私がこの店のことを書いているかというと、開設準備からのスタッフだからである。そもそも今年5月に私がさいたま市から新小岩に転居してきたのは、矢向淳一さんの招きによる。新小岩への転居を決めた後、矢向さんからレコードショップ立ち上げの話を聞いた私は副業としてその店で働くことにしたのである。「Cry for the Moon!」のホームページ作成には私が関わっていて、データ入力も、その公開も私がお手伝いしている。

データを入力していると、よくもまあこんなに面白そうなLPばかりを仕入れたものだと感心する。時々音を確認するために、そのLPをプレーヤーにかけて聴いてみる。すると、これがとてつもない音がするのである。お店に置いてあるLPプレーヤー(DENON DP-DJ100)ははっきり言って安物である。LPとSPをどちらもかけられるようにするためにあえて設置したプレーヤーである。しかし、プリアンプ(AUREX SY-Λ88Ⅱ)、パワーアンプ(Lo-D HMA-9500)、さらにスピーカー(EXCLUSIVE S5)はこの店のLPの音をしっかり引き出してくれる。私は大学入学とほぼ同時にLPからCDに早々と鞍替えした身だが、この店でLPを聴いていると、若気の至りとは言え、私はLPの音をろくすっぽ知らないままCDの世界に入ってしまったのだと分かった。

データ入力が済んだLPは100枚単位でえさ箱に入れる。私は完全にCD派だったので、えさ箱の前に立つのも久しい。お客さんのようにえさ箱のLPをひとつひとつ手にしてみると、これがまた懐かしい気持ちになる。そうそう、高校生の頃までは私もこうしてLPを一枚一枚手に取って眺め、手に入れたいと願っていたものだった。重量のあるLP、立派な見開きジャケットに入っているLP、箱に入った豪華なLPを触ると高校生の自分を思い出す。そして今、それを手にしていると、LPがいかに優れたパッケージ商品であり、すばらしい音楽文化の一翼を担っていたかが分かるのである。

CD派だった私が今頃になってレコードショップにいる。それどころか、働いている。何かの巡り合わせなのだろうと私は思っている。私がお店にいるのは火曜日と金曜日だけだ。とはいえ、お店ではスーパー・マニアの矢向淳一氏が自慢のLPの数々について熱く語ってくれるので、LPを聴いてみたいという方は是非とも総武線新小岩までご足労頂きたく、お願いしたい。LPの音を聴きに来るだけでも大歓迎!

(2015年12月5日)

中古レコード店 Cry for the Moon!」への2件のフィードバック

  1. 伊東さん、素晴らしい紹介文ありがとうございます。

    初めて本名で投稿します。

    訳あって、私の誘いに乗って伊東さんが新小岩に引っ越してくることにならなければ、私は中古レコード店を開店しようなどとは思い立たなかったでしょう。

    私は、データ管理システムはおろか、ホームページの作り方さえ知らなかったのです(今は知っているのかと問われれば、知らないとお返事するしかありませんが)。

    いま、店を出すということはこの高いハードルを越えてこそ実現するもので、伊東さんのお手伝いなかりせば、これらのハードルを越えることはできなかったのです。

    an die musikのセンスの良さと伊東さんの前職、それがあればこそ、私は、伊東さんに声をかけて、お手伝いをおねだりしたのです。

    DIGITAL初期からリアルタイムでLPレコードに触れてきた私は、CDの産声とともにクラシック音楽鑑賞を本格的に開始したのですが、天邪鬼で薄給であった私は、新しいメディアであるCDではなく、中古レコードの世界に足を踏み入れたのです。

    当時は、今のようにふんだんに輸入レコードの初期プレスなど買える状況ではなく(それを知る人は非常に少数で、状態のよい物などほとんど皆無、輪をかけてべらぼうに高価)、だったため、マイナー・レーベルの優秀録音や、名盤と言われるものの国内盤に傾向していきました。国内盤が増えるにつれ、その中でも音の良いものが外国のメタルを使用していることを知り、発売当時にプレスされたもののほうが圧倒的に音が良いことに気が付き始めたのです。

    そして、転機が訪れます。
    たった2枚のSPが、私のオーディオライフを180度かえてしまいました。
    ある時(1995年の11月頃だったと思います)、音楽鑑賞の師であり、仲間でもあったM氏から弟に貸し出されていたSPレコードを聴く機会がありました。
    その当時は、SP用のイコライザーなど所有しておらず(そんなものが必要なことさえ知りませんでした)アンプのトーンコントロールで補正して聴いたのですが、とにかくその演奏、音色の見事さにシビレてしまったのです。そのときの「何なんだ、これは?」という驚きは、とても言葉になりません。
    それまで聴いていたものとは、まるで次元の違う音と演奏の衝撃は、凄まじいものでした。
    「雷に打たれたような(死んでしまう?)」などというものではなかったと記憶しています。

    その、記憶がいまだに残っている私の置き場のなくなったコレクションを、整理のためと、両親亡きあとの生活費稼ぎのために売ることにしたのです。

    赤子の魂百までといいますが、私のポリシーも当時と変わりありません。

    変人の変態コレクションと笑われても揶揄されてもかまいません。
    知ったこっちゃないのです。

    ぜひ一度、ホームページのリストを見てやってください。
    何か変な感じがしたら、ぜひお店を見てやってください。

    ご来店あらば、随時、レコードコンサートを開催します。

    今は、まだLPレコードだけしか展開していませんが、そのうち必ず、SPレコードをデモします。
    何か感じるものがあるはずです。

    聴いて時間の損になることは絶対にありません。

    コマーシャルをしないのがポリシーだったこのページに、紹介されたのをよいことに宣伝してしまいます。

    よろしくご存じおきくださいませ。

  2. おめでとうございます。

    実年齢はお二人と(たぶん)近いのですが、レコードを聴き始めたのが早いせい(自分で自主的に聴き始めて今年で50年、買い始めて47年)か、鑑賞の中心がLP以外になったことがない上に、祖父が以前SPを数千枚所持しており、SPも今なお身近な存在であり続けているため、膨大なリストを眺めても普段着の雰囲気なのです(苦笑)

    (「サンソン・フランソワのデビュー盤スカルボをSPで聴いています」なんて輩は、相当風変りであることは認めます・・・)

    しかし、仲間が増えることは本当に素敵なことで、その意味でもまさに慶賀です。

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