2015年を振り返る

2015年を振り返ってみた。

2月には離婚が決定した。その後は、さいたま(浦和)の家を売るのと新居を探すのに奔走し、5月に東京都葛飾区の新小岩に引っ越してきた。心機一転のために新小岩に引っ越してきたのは正解だった。人生をやり直すのにこれ以上の場所はなかったと思う。

以下、思いつくままに今年を総括してみる。

1.読書について

私は読書を趣味のひとつにしているが、さすがにこれだけ環境の激変があると読書に集中できない。今年読んだ本の数はわずか326冊だった。こればかりは致し方ない。来年は読書の質を高めることを最優先にしよう。

2.CDについて

オーディオルームのある一軒家から普通のマンションに引っ越してきたためにオーディオ環境はかなり悪化した・・・はずなのだが、いろいろ手を入れていって快適に音楽を聴ける環境ができてきた。階下の住人のことを考えると大音量は出せないが、まずまずの音にはなったと思う。また、転居によって精神的重圧から解放されたことも大きくて、音楽の楽しみ方がちょうどこのホームページAn die Musikを立ち上げた頃のような喜びに満ちたものになった。

今年最後に聴いたクラシックはALTUSのCDだ。まずはクナッパーツブッシュのアルペン交響曲。

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R.シュトラウス
交響詩「死と変容」作品24
アルプス交響曲 作品64
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1958年11月9日、1952年4月20日、ウィーン、ムジークフェラインザールにおけるライブ録音
ALTUS(国内盤 ALT074)

この「アルペン」ではクナッパーツブッシュらしい雄大な演奏が聴ける。日の出とともに豪快に山登りを始めたクナは山頂から下山する際にも自然の猛威と徹底抗戦して帰る。さすがクナだねえ。古いモノラル録音の割に臨場感のある音で聴けるのが嬉しい。

もうひとつ。こちらはシューリヒトのブラームスだ。

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シューベルト
交響曲第5番 変ロ長調 D485
ブラームス
交響曲第4番 ホ短調 作品98
カール・シューリヒト指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1965年4月24日、ウィーン、ムジークフェラインザールにおけるライブ録音
ALTUS(国内盤 ALT070)

こんな演奏が残っていたとは。ライブ録音なのでモノラルだが、それでもウィーン・フィルの音を堪能できる。弦の音がとにかくすごい。最初の音で引き込まれる。1965年だから、そんなに古い時代でもないのだが、こんなとてつもない音が出せるオーケストラだったのだと認識を新たにした。シューリヒト引退間際の大名演である。

3.LPについて

ここからは笑い話だ。今年私はLPを買った。セルのワーグナーである。

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ワーグナー
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
歌劇「タンホイザー」序曲
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
「ファウスト」序曲
歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
歌劇「リエンツィ」序曲
楽劇「ニーベルングの指輪」ハイライト
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団
録音:1962年~68年、クリ-ブランド、セヴェランス・ホール
COLUMBIA(輸入盤 D3M 32317)

衝動的に買ってしまった。私が最後に買ったLPはビリー・ジョエルの「イノセント・マン」だった。1983年のことである。つまり、32年ぶりにLPを買ったことになる。私はLPさえ買えば、後はヤフオクか何かで廉価なLPプレーヤーを買ってどこかにしつらえれば聴けると踏んでいた。

ところが、私が現在使っているアンプにはフォノ端子がないのである。フォノ端子が付いているラックスのアンプL-509sは転居時に処分してきたのだ。何ということだろう。フォノ端子がないアンプにはフォノイコライザーを買って付けなければならないらしい。私がLPを買ったことを知った友人たちは、「伊東は一体何を考えとるのだ?」と笑っている。それはそうだ。自分でも笑ってしまうんだから。無知とは恐ろしい。

このLPをどうするか。ジャケットを飾るだけにして後のことは諦めるのも選択肢にはある。別の展開もあり得る。LPを聴く環境を整えることもできるのだ。もしかしたら、来年末にはLPを我が家でじゃんじゃん聴いているなんて夢のようなこともあり得るかもしれない。1年後のことなんてどうなるか分からないが、楽しく音楽が聴ければそれでいいだろう。

それでは皆さん、良いお年をお迎えください。

(2015年12月31日)