『秘密のマシン、アクイラ』
1997年作品
アンドリュー・ノリス著
原田勝訳
あすなろ書房
学校で指折りの落第生ジェフとトムは、ある日、国立公園の石切場跡から、不思議な物体を発見します。どうやらローマ時代のものらしいです。2人がその物体に乗り込み、ボタンを押してみると、それは空中に浮かび、空を飛び始めたではありませんか。わくわくするような出だしです。ただし、これは単純な冒険ものではありません。
アクイラと呼ばれるその物体は、いつ誰が作ったのか。どんなことができるのか? 動力は? 疑問はたくさんあります。落第生だったはずの2人はアクイラに夢中になり、いろいろなことを学んだり、調べ始めたります。まずはローマ時代の言語であるラテン語を学び始めます。先生たちには次々と質問を浴びせます。動力に関する最新の科学技術について。かつて軍で用いられていた航空航法について。また、動力の確保のため必死に数学の計算問題を解いたりもします。先生たちは、2人の変貌に目を見張るばかりです。
アクイラという夢の乗り物を手にしたことで、2人は知らず知らずのうちに学びの世界に入っていきます。しかも、自分たちは高度なことを勉強しているという意識が全くありません。少年たちは何かきっかけさえあれば大きな飛躍ができるのですね。これはアクイラを通じた2人の成長物語でもあるのです。
この本は早ければ小学4年生から読めます。5年生の男子に勧めると夢中になって読みます。わずか200ページの作品ですが、子どもたちの空想を刺激してやまないでしょう。
(2015年3月3日)