青空のむこう

『青空のむこう』

2001年作品
アレックス・シアラー著
金原瑞人訳
求龍堂

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少年ハリーはは交通事故に遭って死にました。気がついたら「死者の国」にいました。死ぬ予定などなかったので、面食らいます。死はあまりにも突然のことであったために、やり残したこと、気になることがあります。特に、3歳年上の姉エギーには死の直前にひどい言葉を投げかけてしまっていたので、ハリーは死んでも死にきれません。そのため、ハリーは「死者の国」から「生者の国」に戻ります。彼は「生者の国」で、みんなが死んだ自分のことをどう思ってくれているんだろうと考えながらさまよい続けます。そして、ショックを受けたりします。そうしているうちにハリーは死後であるのにもかかわらず精神的に成長し、「生者の国」と決別します。彼の行く先は「死者の国」ではありません。今度は「彼方の青い世界」です。そこはどんな場所なのでしょう。

このように、この本は人の死を扱った物語です。そのテーマだと、とても湿っぽい内容を想像するかもしれませんが、イギリスの作品は表紙の絵のように実に爽やかに、感動をもって幕を閉じています。

子どもにとって死は身近ではありません。子どもは生そのものだからです。したがって、子どもにとってこれは特殊なジャンルの本ということになります。しかし、死について考えるというのは生について考えるのと同じかもしれないのです。その意味でたまにはこのような本に接しても良いのではないでしょうか。

内容的に、小学4年生から。小学3年生だと活字が読めたとしても内容を理解するまでには至らない場合があります。

(2015年3月12日)