『ロビンソン・クルーソー』
1719年作品
ダニエル・デフォー著
坂井晴彦訳
福音館書店 福音館古典童話シリーズ
古典的名作。ロビンソン・クルーソーが航海の途中で無人島に流れ着き、そこでサバイバル生活を送るという物語です。300年も前に書かれたというのに、内容に古さは感じられません。子どもが読んでも抜群に面白いし、大人が読んでも今なお第一級の娯楽作品です。
読む前から無人島での生活に関する疑問は尽きません。無人島で人間は生きていけるのか。衣食住はどうするのか。絶望しないのか。その答えはすべて本の中にあります。また、もともと大人向けに書かれただけに、人生に関する教訓も盛りだくさんです。それらは遠回しにではなく、いちいち明記してあるのです。その中には大人が読めば膝を打って快哉を叫ぶような文言が多数あるのですが、その部分だけは子どもにはやや退屈に感じられるかもしれません。
著名な作品であるだけに様々な版でこの作品は出版されています。この福音館古典童話シリーズ版は完訳ではありませんが、それでも423ページと十分な長さです。しかし、できれば、このくらいの分量は読んでほしいものです。あまり簡略化された版だと、面白さが半減してしまうからです。
そうなると、対象年齢はちょっと上がってきてしまいます。早くても小学5年生からが良さそうです。男子なら夢中になって読むでしょう。
(2015年2月18日)