マチルダはちいさな大天才

『マチルダはちいさな大天才』

1988年作品
ロアルド・ダール著
宮下嶺夫訳
評論社

matilda

マチルダは3歳になる前に字を覚え、4歳3か月時点で図書館にある児童書を読み尽くしました。図書館の館員は、それまでに読んだ本の中では『秘密の花園』が一番良かったというマチルダに仰天しながら、ディケンズやヘミングウェイ,スタインベックを貸し出し始めます。5歳半になって小学校に入ったマチルダは、ハニー先生の最初の授業で驚くべき能力を明らかにします。彼女は 2×487=974 とか、12×7=84 とか、14×19=266 といったかけ算をクラスメイトの前で何の苦もなく暗算でやってのけるのです。ハニー先生はこの驚嘆すべき生徒に興味を持ち始め、やがて二人は親密になります。

マチルダの両親は子どもが天才であることに気がつきません。それどころか、子どもの教育に無関心です。彼らに興味があるのはあくどい金儲けと気儘な生活でした。また、学校では校長先生がマチルダを目の敵にします。マチルダはどうなってしまうのでしょうか。

このように、ロアルド・ダールの作品には、大人から見れば過剰とも見える設定が次々と現れてきます。悪く言えばやや漫画的です。本作もその傾向がありますが、物語の語り口が上手なのであまり本に親しんでいない子どもでも一気に読めるのが特長です。『マチルダはちいさな大天才』も早ければ小学3年生から読めます。小4ならもっと楽しめるでしょう。この本や『チョコレート工場の秘密』が気に入った子どもにはダールの作品をどんどん渡してみましょう。読書の世界の入口になるかもしれません。

(2015年3月20日)