池井戸潤の『不祥事』(講談社文庫)を読む。
テレビ番組『花咲舞が黙ってない』の原作である。主人公名はもちろん花咲舞。テレビ化されるだけあって大見得シーンが満載の痛快な作品だ。登場人物は白黒に色分けされていて分かりやすい。
しかし、どうにも漫画的だ。文庫本の表紙からして漫画的である。人間が善玉悪玉に明確に分けられているために物語に深みがない。人間が白黒のどちらかに分類されるなどということはあり得ない。グレーや、他の色はないのか。また、花咲舞は子供番組のヒーローみたいで非現実的すぎる。これなら『銀行総務特命』の方がはるかに陰影のある作品だ。
(2015年8月22日)