『中学生からの大学講義 5 生き抜く力を身につける』(ちくまプリマー新書)を読む。
これは各界の最前線にいる方々が桐光学園で行った講義をまとめたもので、全5巻。
このシリーズは講義を収録したものだから、語り口は平易であるが、内容は十分に刺激的だった。中高生向けに出版された本でありながらも、大人にも訴えかけるものも多く、これまでの講義の中でも鷲田清一、村上陽一郎の講義は非常に読み応えがあった。
どの巻においても冒頭の講義が出色だ。この第5巻でも冒頭の大澤真幸「自由の条件」から強い印象を受けた。「なぜ自由な社会で息苦しさを感じるのか」「人間が「自由な主体」になるためには」など、現代を生きる我々に自由について考えさせる。
このシリーズはこの第5巻で完結しているのだが、続編を出せないものか。終わらせるには惜しい企画だ。
(2015年7月27日)