シェイクスピアの『リア王』

シェイクスピアの『リア王』(光文社古典新訳文庫)を読む。

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とてつもない作品だった。私が子どもの頃に聞かされたリア王とは全く違う。この作品を知っているつもりだったが、そんな自分が恥ずかしい。

リア王は狂死、コーディリア姫は絞殺されるという悲劇的結末だけでなく、辛辣で含蓄のある言葉の奔流に圧倒される。このような傑作には、翻訳物だとはいえ、そこいらへんの緩い小説が束になったってかないっこない。シェイクスピアの天才ぶりには驚くばかりだった。

おかげで、JRの新小岩駅で降りるのを忘れてしまった。ここまで熱中して本を読むのは久しぶりだった。こういう作品を読むと、言語ではどんな言葉を使っているのだろうと興味がわく。英文学者やマニアたちが取り憑かれてしまうのは当然だ。

(2015年7月24日)